【★完結★】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

第79話 王国の最後と、商売人と。

――他国の王達は、この国の有様を建国記念日に出ていた貴族達から聞き、国際法に乗っ取った対応をしたのだと言う。

国王とは国民を守らねばならず、その役目を放棄していた事は特に許されない事でした。

そして、各国の王は「ダンノージュ侯爵家の言っていること以上の事が隠されているのでは？」と思い、独自に調べた結果、芋づる式に色々と出てきたそうです。

国王は、家臣の妻が美しければ取り上げ、期間限定の愛妾としていた事。

国王は、家臣の娘が美しければ取り上げ、期間限定の愛妾にしていた事。

ここでまず、一度目の他国の王達からの怒りが吹き出ました。

「その様な王だからこそ、女性の地位は低く、働き先が娼館だったのでは？」

と言う声も出て、国王は大慌てになりましたが後の祭り。

更に、調べれば調べる程埃は出るもので、雪の園と朝の露のダンジョン活性化に伴う報酬及び、命令についての言及もされました。

一国の王が支払えない額の報酬を出すと言い、死ぬ事を前提にしていた事も問題でした。

二つのメンバーの皆さんは、結果わたくしの作ったアイテムで生き残る事は出来ましたが、その後の扱いもまた杜撰でした。

なんと、報酬の支払いを渋ったのだそうです。

初めて聞く内容に驚きを隠せませんでしたが、この国の国王は、国を守った英雄に支払うべき報酬の支払いを渋り、渋った上に二つのメンバーの皆さんに約束した報酬の半分しか支払っていなかったことも判明しました。

これもまた、更に他国の王達から批判される的となり、国王が代替わりしない限りは断交と言う形になったそうですが、国王が代替わりしても、他国の属国にならねば信用は出来ぬと言われたそうで、王は渋々――王太子に国王の座を譲り、大々的なパレードもせず、国民にその事を伝える術もなく、ひっそりと代替わりしていた事に驚きました。

無論、雪の園と朝の露に支払うべき金額を残り一括で支払う様命じられ、王家は火の車。

数年間はひっそりとした生活を余儀なくされる事となったそうです。

また、国として信用ならぬと言われたこの国は、やはりナカース王国の属国となりました。

国民への通達は近々来るそうです。

そして、余りにも現在王家が火の車の為、属国になると同時に貴族へと変わることになったそうで、今現在ある城は、ナカース王が来られる際、そしてナカース王国の王太子が住む際に使われる事となるそうだと言う事でした。

しかし領地を持たぬ貴族等、この国では死を意味するのですが――王家が持っていた領地は英雄たちの支払いに売り払われ、長らく続いた王家は、ひっそりと消えてなくなるとの事でした。

更に、我が父――マルシャン公爵家は辛うじて領地がある為残る事になりますが、領地運営が上手く行ってないらしく、このままでは消えるだろうと言われています。

国王の味方に付いた貴族達の領地は運営が芳しくなくなったのだそうです。

これも運命なのでしょうね……消える貴族の多さは、この国の半分以上と言われています。

その為、信頼できる、信用のできる貴族ならば、男爵家であろうと領地を広く貰える事となり、貴族の数は減りますが、何とか領地を守っていけるくらいにはなるそうですわ。

「属国になると言う事は、そういう事だ」

「なるほど……」

「属国になる際、国民には本当の歴史を教えた方が良かろう」

「本当の歴史とは？」

「何故この国が箱庭師を差別しているのかについてだ」

この国があった前の時代の国は、三つのダンジョンのスタンピードによって滅んでいるとされていますが、一度は復興しようとしたそうです。

スタンピードの際、箱庭師たちが国民や国王、貴族を箱庭に避難させ難を逃れましたが、その箱庭師の箱庭の有能性から、国の所有物にする事を決めた当時の王。

言う事を聞かぬ箱庭師は、王命によりさらし首になったそうで、それに怒った箱庭師たちは

怒り悲しみ、一人、また一人と消えていったのが現状で、結果前回の王国は復興することなく消えたのが本当の歴史だというのです。

国民や貴族、王族を助けたのに酷い仕打ちを受ければ、逃げたくもなりますわね。

しかし、国が復興しなかったのは箱庭師の所為であると言う根強い王家の恨みは、現在の王にも受け継がれ、箱庭師は国を裏切ったスキルだと定着したのだとか。

「それ故、ナカース王国では近いと言う事もあり、スキルで箱庭師を持つ者たちの調査を長年してきたのだ。リディア嬢と知り合ったのもその為だったのだよ」

「そうでしたのね」

「しかし、君の父はリディア嬢の保護を許さなかった。見目麗しい君ならば、国王の目に留まると思っていたのだろうが、何分君は箱庭に閉じこもって出てこなかったらしいからな。それでは使い物にならぬと言う事で平民に落とされたのだろうが、そっちの方が返って幸せだったと言うことだ」

「そうなりますわね」

「そこでだカイル」

「はい」

「この国はナカース王国の属国となった。お前は店をしながらこの国の調査をするよう国王はお前に王命を出している。ナカース王国の法律がシッカリと届いているか、そして国民が最低賃金以下で暮らしていないか、夫の暴力で妻や子供が酷い目に遭っていないかなど、お前の店が総括王太子の補助をすることになった様だ。無論、お前はダンノージュ侯爵領でも店を出さねばならない為、雇っている店長たちから話を定期的に聞き、報告して欲しい。お前が城に入る許可は既に取られている」

「分かりました」

「また、ナカース王家から王太子がこの国を上手く回るようにするため、就任することが決まった。少々変わった方だが、厳しい目でこの国を導くだろう」

「分かりましたわ」

「了解です」

「ナカース王家から王太子が来た場合、カイルは挨拶に行かねばならない。王太子は庶民育ちのお前であるゆえ言葉使いは気にせず楽にせよとの仰せだ」

「助かります」

どうやら城にはナカース王国の王太子が就任して国を纏め上げていく様子。

国民の状況は雪の園の方々と、朝の露の方々が色々店にくるお客様から話を聞き、それをカイルが纏めて王太子の許へ持っていく事になりそうですわね。

しかし――。

「ネイルサロンにくる貴族からの話はどうなりますの？」

「そちらも、ネイルサロンで働いている者たちから話を纏め、持ってきて欲しいとの事だ」

「分かりましたわ、そう伝えておきます」

「お前たちは沢山の店を持っている。それも有名な店だ。シッカリと国民の声を聴いて、王太子に伝えて欲しい」

そう言われるとわたくしもカイルも強く頷き、今後はもっと忙しくなりそうだと思いましたわ。

では、ネイルサロンを纏めているエルザとメル、そして冒険者用のネイルサロンを纏めているハカリンとモリス、そして道具店サルビア二階のファルンさんにエリンさん達には、報告書を纏めて貰い、タウンハウスに来てもらう事になりそうですわね。

「それから、タウンハウスは今ブラウンが購入手続きに向かっている。今日から使えるようになるだろう。家具は好きなように買ったり作ったりすればいい。支払いは全て、ダンノージュ侯爵家に来るようになっている」

「有難うございます」

「出来るだけ自分たちでは作りますが、必要な物はお願いします」

「うむ」

取り急ぎ、机と椅子を用意しなくてはならなそうね。

後でタウンハウスに入りに行きましょう。

「今のところ、話は以上だ。ライトを呼んできて欲しい。今からダンノージュ侯爵領へと移動する」

「分かりました。俺と交代となりますが宜しいでしょうか」

「構わんよ」

「有難うございます」

そう言うとカイルは空間を作ってライトさんを呼びに行き、残ったのはわたくしとアラーシュ様のみ。

けれど、悪い方では無いのは既に知っている為、のんびり紅茶を飲んでいると――。

「カイルとは上手くやっていけそうか？」

そう問いかけられましたわ。

「ええ、上手くやって行けそうですわ。カイルは若干Ｍ気質がありますから」

「父親に似てしまったか。だがシッカリと自分の妻となる君を見つけたのは称賛に値する」

「ライトくんとロキシーはどうなりますの？」

「彼らは分家にはなるが、基本カイルたちと一緒に過ごしてもらう。同じ屋敷に二つの家族が入る事は、ダンノージュ侯爵では珍しい事ではない」

「そうなのですね」

「この国のあらゆる場所を変化させたように、ナカース王国も変化を求めている。君には期待しているよ」

「有難うございます。頑張りますわ」

こうして話が終わるころライトさんが訪れ、二人はナカース王国へと戻って行かれましたわ。

わたくし達がナカース王国へ向かうのはまだ先の事。

どうなってしまうのかドキドキしてしまいますわね。

「あちらでも業務提携しないと店が回りませんわ……。それに新たな雇用も生み出さねば」

わたくしの心配事は、商売の事で一杯でしたわ。

仕方ありませんわよね。

商売人ですもの！

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ついに、現在いる王国が終わりましたね。

もう事実上終わりで良いでしょう！

ナカース王国の属国になりましたし！

そしてリディアちゃん。

生粋の商売人に育ってしましました……ｗ

最初は盾が欲しかった少女が

今では根っからの商売人になってるんですよ。

成長したな……引き籠りだけど。

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