第54話 箱庭師は箱庭専門で働く仲間を集めだす。

スキル判定の結果――凄い事が分かりましたわ!!

まずはお母様のナナリシアさん。

彼女はなんと『付与師』としてのスキルがとても高かったんですの!

これは、ナナリシアさんには護符の大量生産をして頂けるのでは? と期待大ですわ!



「ナナリシアさんは付与師のスキルがとても高いんですの。付与師は護符を大量に作れるようになれば、それだけで食べて行けるだけの便利なスキルですわ! 是非、スキルが上がったら箱庭にあるアイテムを使って『帰路の護符』の制作のお手伝いを!! 成功した『帰路の護符』は店で売りますわ!」

「私に付与師のスキルが……っ」

「素晴らしい事でしてよ!」



続いて、5歳のリリーさん。

彼女の持つスキルは【彫金師】でしたわ。

彫金師と付与師のセットはとても相性が良く、彫金師のリリーちゃんがアクセサリー等を作り、それに付与師であるナナリシアさんが付与をすれば、高額アイテムを作り出すことが出来ますわね!



「リリーちゃんは彫金師でしたわ! 彫金師はレベルを上げるのがとても大変ですけれど、コツを教えますから頑張ってくださいませね? それに彫金師と付与師はとても相性がよろしいんですの! 二人セットで高額アイテムを作る事も将来的に可能になりますわ!」

「わたし、おかあさんとあいしょうがいいすきる?」

「ええ! 難しいスキルですけれど、頑張ってみましょう?」

「うん、がんばる」



彫金師はまずは銅鉱石を鍛冶師が欲しがるような銅板にしたりしてスキルを上げるのがいいですわね。貯めこんである銅鉱石を使ってガンガン作って頂きましょう。

銅板、鉄板は貯めこんでおいて、時折カイルに売りに行って貰うのもアリですし、ある程度残しておいてアクセサリー作りをするのも手ですわね。



続いて、3歳のアンリさん。

アンリさんのスキルは『錬金術師』でしたわ。

錬金術師はお薬を作ったり、わたくしの良く作るハッカ水の制作に用いているスキル。

まずは初級の錬金が幾つかありますから、それを遊びながら勉強していきましょう!



「アンリさんのスキルは『錬金術師』でしたわ! お店の一番人気のハッカ水などが作れるようになりますわね! 最初は簡単なスキル上げを教えますから、遊びながら覚えていくと宜しいですわ!」

「れんきんじゅつし?」

「用途は様々、幅広いお仕事が出来るスキルですわよ! きっと世界が広がりますわ!」

「はこにわにいて、せかいひろがる?」

「アンリさんはお外に出たいんですの?」

「でたくない」

「では、ここでお母様たちと一緒にスキルを上げていくとよろしいですわ! コツは教えますから安心してくださいませ! 無論、ナナリシアさんにもコツは教えましてよ?」

「ありがとうございます」



三人は自分が持って生まれたスキルを初めて知ったのでしょう。

スキルボードを見つめて、己のスキルに胸を躍らせているようですわ。



「まぁ、コツを教えるといっても、魔石をクリスタルに変換させる方法をある程度出来るようになったら、大抵のものは作れるようになりますわ。地道ですけれど毎日コツコツが基本してよ?」

「なるほど、では今まで通りクリスタルを作っていけば自ずとスキルが上がるんですね」

「そうなりますわ」

「けれど宜しいんですか? 魔石だってお高いでしょうに」

「投資ですわ! 皆さんが活躍できるようになる為でしたら安いモノでしてよ?」

「有難うございます!」

「「ありがとうおねえちゃん」」



こうして、三人には今後も魔石をクリスタルに変換させることを頑張って貰う事になりましたわ。

残る二人のスキルボードも見ておきたいですわね……。

後で暇を見て見せて頂きましょう。

ロキシーお姉ちゃんやカイル、ライトさんに関しては、見たければ何時でもお声掛けして貰うようにしておきましょう。


あとは、ネイリストにどうしても向かないタイプの方がいらしゃったら、スキルボードを持って行ってこちらの作業に入って頂く手もありますもの。

活用できるスキルボードはどんどん活用しますわ!



その後、シュシュを大量に作って持ってきてくださったサーシャさんとノマージュさんにもスキル鑑定してみたところ、お二人は『裁縫師』でしたので、伐採エリアや畑にある綿花等を糸にするところからスキル上げを始めましたわ。

染料になる花は幾らでもありますから、素敵な服が出来そうですわね!

それに、リリーさんにアンリさんは成長期ですもの。

彼女たちの服も今後作って貰いましょう。


そんな事を思っていましたけれど――サーシャさんとノマージュさんは元々裁縫レベルが高いお二人でしたので、一週間後にはあっという間に服を作るレベルにまで達しましたわ。



「お貴族様が着るようなドレスはまだ作れませんけど」

「どうでしょう!」

「素晴らしいですわ……。これはちょっと、想像以上でしてよ!」



彼女たちは素晴らしいオシャレ着も作れるようになり、まずはネイルサロンで働く皆さんへの販売をしたところ、あっという間に消えましたわ。

また、今まで女性ではなかったパンツスタイルの服装も作るようになり、ネイリストの皆さんの間では、こちらの世界では目新しいパンツスタイルで仕事をすると言うのもサルビアでは流行り始めましたの。


それを見た貴族や庶民、そして冒険者の女性の間でも服が欲しいと言う話をよく聞くようになり、時期を見てネイルサロン・サルビアの上に洋服屋さんみたいな感じで定期的に開いても良いかもしれないと話に上がるようになっていきましたわ。


二人の試みはまだまだ続きます。

服だけではなく、布製のバッグに帽子と、幅広く作られるようになりましたの。

彼女たちには専用のバッグが3つも用意され、それぞれに服を大量に入れて貰ってますわ。

そして――。



「カイルさんもライトさんも、もう少しオシャレをなさるべきです!」

「男性もオシャレを楽しんで、女性の目を楽しませても良いと思います!」

「と、言うわけでこちらの商品なんてどうでしょう?」

「動きやすさを重視した作りとなっております!」



あれほど男性に苦手意識を持っていたサーシャさんとノマージュさんは、ついに男性陣のオシャレにまで進出!

カイルとライトさんは「それでは」と二人の作った服を二着買い、二人はホクホク笑顔だったのはいうまでもありませんわね。



それから更に建国記念日の一カ月前には――貴族が通う以外の娼館が、2,3軒残っただけでほぼ無くなりましたわ。

無論、カイルたちによる娼婦であった彼女たちをお金に任せて購入し、保護したことで――ですけれど。

総勢58人の元娼婦さんがネイルサロン・サルビアの上で保護され、傷を癒し、神殿契約後、わたくし秘蔵のスキルボードを使い、箱庭で内部作業向きの方とネイルサロンで働く人とで分けるようになりましたわ。


おかげで箱庭には――。

『彫金師』が二人。

『錬金術師』が二人。

『付与師』が二人。

『漁師』が二人。

『料理師』が二人。

計十人の内部で働く方々が増えましたの。

急ぎ家を建てようとしましたけれど、サーシャさんとノマージュさんは二人で一つの家に住んでも構わないと言う事で、丁度二人ずついらっしゃった方々は、一つの小屋に二人で生活をすることになりましたわ。

また、どうしてもネイルの適性が無かった二人も更に加わりましたが、そちらの二人にはカイルの店の手伝いをして貰い、新しいネイルサロンオープンに向けて、研修と言う形で商売に慣れ親しんでもらう事にしましたわ。



そして、時同じく――。

ダンジョン鎮圧に向けた大規模作戦が開始されることになりましたの。

カイルの店にも、ありったけのポーションや護符などに対する支援要請が来ましたわ。

決行は一週間後と言う事もあり、国中が緊張した空気に包まれましたわ。



「最終決戦って感じかしら」

「だと良いんだがな……。今日の夜、営業時間外になるが、雪の園の人たちが店に来るらしい。そこで聞いてみるよ」

「お願いしますわねカイル」

「リディアも池鏡で話を聞くだろう?」

「無論ですわ。気になりますもの」



わたくしたちも、この一カ月から二カ月、別の意味で戦ってまいりましたけれど、それは冒険者も同じ事。

率先して現段階の最深部に籠っていた雪の園の皆さんから聞く言葉はどんなモノになるのかは想像つきませんけれど……出来れば良い方向であれば……。



「カイル」

「ん?」

「せめて大事な話をしている時くらい、膝抱っこはお止めになりませんこと?」

「リディアの定位置は此処だろう?」

「解せませんわ」

「フフ、早く俺の好きな女性が見つかるといいな?」

「そうですわね、早く判明させたいところけど忙しいんですの! 暇が出来たら見つけてやりますから覚悟為さい。存分に面白がって差し上げますわ!」

「ああ、存分に面白がってくれ」



早くダンジョン活性化が終わらないと、カイルの好きな女性捜しも出来ませんわ!

暇が出来たらストーカーばりに観察してカイルが心を寄せている女性を探して見せましてよ。

全く、覚悟なさってね!!







================

本日二回目の更新です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る