第7話 箱庭師は新しい店員が欲しい。
翌朝、わたくしが着替えを済ませ朝の紅茶を楽しんでいるとカイルがやってきましたわ。
何でもベッドが余りにも寝心地が良くて、ウッカリ寝すぎてしまったのだとか。
元々は手慰みとは言え、喜んでもらえるのは嬉しいですわね。
「今日からは店舗とこちらを繋ぐ扉を用意しますわ。そうね……後は店員を雇えたら最高かしら?」
「店員は、誰でも良いのか?」
「品物をシッカリと管理できる方がいらっしゃればそれに越したことはありませんわ。冒険者を引退した方でも良いですし、」
「それなら、一人雇って欲しい奴がいる」
「まぁ! カイルの紹介でしたら歓迎ですわ! どなたですの?」
「俺の弟だ」
思わぬ言葉に目を見開いてカイルを見ると、カイルは言いにくそうに話してくれましたわ。
年の離れた弟が一人いること。
この王国の近くにある村で、一人で生活している事。
魔付きになった以上、迷惑は掛けられないと奴隷商に行き、定期的にお金を送ろうとしていた事等も話してくださいました。
「なるほど……。まだ幼い弟さんが」
「年のころは11歳、気立ての良い弟で、名はライト」
「でしたら構いませんわ。店舗の部屋も余っていますし是非お迎えに行ってきてくださいませ」
「良いのか!?」
「ええ! その間にライトさんの部屋の家具を一式作っておきますわ。一応今から簡易的なライトさん用のブレスレットを作りますから、カイルも旅支度をしてきてくださいませ。
ああ、でもその前に朝ごはんですわね」
「助かる」
こうしてスキルで料理をパパッと作り、お互いに会話をしながらの朝食となりましたの。
ライトさんがいる村までは馬車で一日らしく、直ぐに帰ってこれるだろうという事でしたので、一日分の携帯食料的なものを後で作っておくことにしましたわ。
後は、村に着いてから一泊はするでしょうから、その時の為の料理を考えていると、カイルが食材だけ欲しいと言ってこられましたの。
何でも弟さんは料理が得意なのだとか。
むむむ、先に胃袋を掴んでいた方がいらっしゃったのね!
せめて柔らかいパンくらいは用意して差をつけねばなりませんわ!
いいえ、その前に手作り料理の練習かしら……。ずっとスキルで作ってきたから手作りは難しいですわ……。
そんな事を思いつつも朝ごはんをシッカリと食べ、カイルに台所から好きな野菜などを持って行って宜しくてよ~と告げてライトさん用の簡易ブレスレットを作る。
使えるのは3回のみの限定品で、使い終われば壊れてしまう事を踏まえて、渡すときに話すことにしましょう。
カイルが店に旅支度に行ったのを確認すると、わたくしは急ぎパンの準備に取り掛かる。
この世界のパンはとても硬く、ふんわりもしていない。
けれど、ロストテクノロジーを使えば、ふわふわでもちもちの美味しいパンが作れますわ。
日本にいた時の美味しいパンを思い出せて、わたくしは大好きですの!
カイルもこのパンに関しては驚いてよく食べますし、多目に大きなパンで三つほど用意すると、紙に包んで出来上がり。
パンも調理スキルが上がれば、ロストテクノロジーの扉が開いて別のパンが作れるようになるかもしれませんわね……期待しますわよ!!
こうして、旅支度を終えたカイルに、ライトさんへ渡すブレスレットの注意と、お土産のパンを三つ渡し、忘れない様にと余分に作っておいた解呪薬の弱いタイプを1ダース渡しましたわ。
これで何があっても大丈夫なはず。
「気を付けて行ってらっしゃいませ」
「ああ、急いで帰ってくるよ」
「お待ちしてますわ。無論、弟のライトさんに会えるのも楽しみにしてますから」
「ああ、三日後にはこちらで生活できるように整えておいてくれると助かる。それと、あの場所から出ない様にな」
「了解しましたわ」
こうしてカイルさんは乗合馬車に乗り込み、村へと出発しましたの。
一日でつくといっていましたし、今日中には感動の再会かしら?
ライトさん、どんな方かしら……。カイルが丁寧な方ですから、きっとライトさんも?
ちょっとドキドキしますけれど、お待ちしてますわ!
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本日の更新は此処まで!
カイルの兄弟が近々登場!
引き籠ってるけどアレコレしたい。
気持ち、わかります。
ユッタリと進んでいく感じですが、続きが気になる! 面白い!
と感じられた読者様がいらっしゃったら
♡や★が1つでもあると嬉しいです(/・ω・)/
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