第21話 最高位太陽神は妻とイチャラブしたい!!

――エルグランドside――



生れてはじめてのキスは――とても甘かった。

フィフィの唇は柔らかく、何時までも貪りたいほどに。

このまま最後まで……そう思った途端、足で股間を思いきり蹴られた。



「ウッ!!!」

「何するんですか!!」



それはこっちが聞きたい、なんてことをしてくれたんだ!!

悶絶する俺から離れる様にベッドから起き上がったフィフィに何とか手を伸ばしたが、余りの痛さに声が出ないっ!!

暫く悶絶しているとタイリアやエルナが訪れ、回復を喜び合っている。

俺を、俺を忘れないでくれっ!!



「神格も上がっていまでは上位女神ですわ!!!」

「良かったじゃないかフィフィ!!」

「でも可笑しいのよ。見た目が変わってないのよ。こう……女神と言えば、ぼんきゅんボンでしょう? 私未だに駄肉なんだけど」

「あ――それは呪いの後遺症だね」

「よほどあの子は貴方に美しくなって欲しくなかったのね。自分の美こそが最上と思っているような神でしたから」

「あ……あんまりだ……これからも駄肉妻と呼ばれてしまう」

「でも、そこも含めてエルグランド様は愛していらっしゃいますから!」

「そのエルグランド様が悶絶してるけど何かあったのかい?」

「襲ってきたので股間を蹴りました」

「「あ――……」」



あ――じゃない!!

痛みは随分と落ちついてきたが、慌てて魔法で服を着ると何度かトントンとジャンプしてから痛みを堪えつつ三人の許へと歩み寄る。



「感極まって抱きしめてキスをしただけだ」

「その先に進もうとしたので蹴りました」

「そうだが、我慢の限界だったのだ!」

「病み上がりに襲うとか鬼畜ですね、最低です」

「ウグッ」



その目、蔑んだ目!!

嗚呼、身体が歓喜に震える!!

眠りに入る前と変わらぬ態度、変わらぬ声、変わらぬ見た目!!

全てが、フィフィの全てが愛おしい!!



「それで、私が眠っている間何かありましたか?」

「ええ、色々と……」

「何から話せばいいかねぇ」

「一先ず、わたくしの方からご説明しますわ。エルグランド様の唯一の妃であるフィフィ様に毒を飲ませ続け呪いをして死んでいった妹ですが……死後裁判と言う事で二度と生まれ変わることが出来なくなりました」

「え」

「エナリスの魂は永遠に幽閉され、罰として太陽神殿の牢獄に入れられています。その中で永遠に苦しみ続ける事でしょう」



太陽神殿の牢獄――。

そこは、マグマと太陽神の肌をも溶かす程の熱と太陽の光が降り注ぐ場所だが、水の女神の魂など何時まで耐えれるか分からない為、消滅しようとしたら魂が復活し、永遠に苦しみを味わうという処罰にした。

他の神々からは「哀れだ」と言われたが、尤も哀れなのはフィフィだろう。

しかも、フィフィの母親がフィリフィアだと分かるや否や、掌を返して「もっともな罰だ」と言い出す始末。

神とて己の身が可愛いのだ。

フィリフィアを怒らせれば、子が欲しい神々は豊穣の女神との婚姻を為すことは出来なくなる。

それは死活問題だったのだ。

罪人エナリスは、延々に地獄を味わい、その刑は一億年とした。



「他に何かあったんですか?」

「ええっと……」

「アタシ目当てで来ていた月の神ファシスがエルナにプロポーズしてたけど、断られてた」

「なんと!?」

「わたくし、好きな御方がいるのでお断りしたんです。まだその方は修業中の身なので結婚は出来ませんが、応援しているんです」

「何方なんですか?」

「雨の神ヌエリオスと言う方なんですが……何分気が弱くて。今から心配ですわ」

「雨の神は元々気が弱い子が多いですよね。後ゆったりしているというか……」

「のんびり屋さんですね」

「そうね」

「なので修業もまだまだ時間が掛かりますから、フィフィ様に美味しいお水を上げる役目はこれからもやっていきますわ」

「有難うございます!」

「取り敢えず神格も上級まで上がったし、これで下っ端女神って呼ばれなくて済むね!」

「駄肉妃とは呼ばれそうですが」

「その呪いも一時的なものだ。俺の子種を受け取るようになれば消えていく」

「それはまだ遠慮したいというか……約束を守って頂かないと何とも言えないというか」

「子供の園だったな。ファーリシア様には明日にでも連絡を入れていくか?」

「はい!!!!」



今日一番の笑顔を頂きました!

と、叫びたくなったのを堪えた俺は偉い!!!

子供達には嫉妬するが、フィフィを攫ってきてしまった以上、耐えるべき問題だろう。

ここで嫉妬をみせれば俺の信用はガタ落ちだ!!



「じゃあ、行くなら太陽神の妻に相応しい装いが必要だね」

「専用の服なら既に出来ているはずですわ」

「動きやすい服装じゃダメなんですか?」

「一応最高位の太陽神の妻ですから……」

「うう……仕方ありませんね。汚れても許してくださいよ?」

「無論許すとも」

「有難うございます!」



こうしてフィフィの目覚めは直ぐに他の神々にも連絡が行き渡り、祝いの品々が夜には次々に運ばれてきた。

流石にフィリフィアの娘であり、この俺の唯一の妻ともなると贈り物も豪華ではあったが、特にナヌーサからの贈り物は素晴らしいとフィフィは喜んでいた。



「これも限定品! こっちも!! あああああ! このフィギュア……じゃない、偶像はレア中のレア!!! 奉ろう、崇めよう!! しかも新刊も入ってる―――!! 買い逃した本もこんなに!! 嬉しい―――!!!」



余程ナヌーサの贈り物が嬉しいらしい。

今度俺からも一筆したため、ナヌーサに礼を伝えようと思う。

まるで子供が宝物を見つけたみたいにキラキラと瞳を輝かせて……余りにも俺の妻は可愛すぎるだろう? どうしてくれる、下半身が爆発しそうだ。



「フィフィ」

「はい!」

「今夜、初夜を向かえないか?」

「断ります!」

「そ、そうか」

「今夜はナヌーサ様の本を読まねばなりませんので!! 当分お預けです!!」



おのれナヌーサめ……っ

いや、フィフィが喜ぶものを贈ってくれた事には感謝はすれど、初夜を断られるとは思いもよらなかったぞ!!!



「フィフィ、何時になったら、何時になったら俺と初夜を迎えてくれるんだ!!」

「気が向いたらですかね?」

「何時気が向いてくれる!?」

「そう焦らないでくださいよ」

「焦るに決まっているだろう!? 俺はもう我慢の限界なんだ!! フィフィを頭の先からつま先まで味わいたい! 抱きつぶしたい! 足腰が立たなくしたい!! 快楽に溺れるフィフィが見たい!!」

「最低ですね」

「男の性だ!!」

「そう焦らなくても、時が来れば考えますよ」

「うう……無理やり襲われても知らないからな。俺はそれだけ我慢をしたんだ」

「無理やりは嫌ですが……そのうち考えます」



こんなにも俺の心を搔き乱すのは今までもこれからもフィフィしかいまい。



「なぁフィフィ、一回でいいんだ。一回だけでも」

「しつこい!!」



そう言われてしまえば引っ込むしかなく……。

俺がフィフィを抱く日は……近いうちに来るんだろうかとベッドに伏して涙を流した。




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お越しくださり有難うございます。

一気に三話更新です。

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