魔女
称号 / 魔女
学年 / 高等部 - 二年
◆
「ふわ〜」
目が覚めると、身体の奥が、ジンジンしていた。
昨夜の攻防戦を微睡みながら思い浮かべる。
「えへへへ…」
お腹に両手を当てて反芻する。
昨日は凄かった。
煽ったのもあるが、あんなにも乱れたのは初めてだった。
「んっ」
アオハルの匂いの残るベッドで昨夜の攻防戦を思い出す。
朝目覚めると決戦場たるベッドには淫らな匂いが残っており、思いきり吸い込むと催してしまい隣のアオハルを見た。
ぐっすりと死んだ様に寝ていた。
睡眠の邪魔をしてはいけないからと、心を鬼にして、浴室に篭り、声を顰め、一人発散した。なかなか火照りが治らず、出られなくなってしまった。
もう!魔王め!ぁんっ!あっ…ぁ
アオハルを見送ってからカーテンを閉め、ベッドに戻り、裸でシーツに包まれ目を瞑ればついつい激ってしまい、もう一度果てて…それから寝たらしい。
時計を見ると16時を指していた。
仕方ないか。
アオハルが悪い。
あんなに上手いアオハルが悪い。
アオハルの齎す多幸感が悪い。
のそのそとどこに行くわけでもなく、支度する。
お腹すいたな。
「勝った、よね?」
鏡に向かってボーっと問いかける。
そこには顔を赤らめ、だが無表情な一人の【魔女】の姿があった。
立ち上がり移動するだけで甘い痺れが起こり腰が抜けそうになるのだ。
ほぁぁ。
……アオハルは何事にも負けた事がほとんど無い。
全てを要領よくこなし、パラメータは軒並み高水準だ。負けてもあまり悔しがらない。
悔しがる時は何か理由があった。
アオハルの胸にはぽっかりと穴が空く時がある。
それが埋まらない時が悔しいのだといつからか気づいていた。それからは自分が差し出せるものはなんでも差し出し、悔しさを感じることを探した。
探し続けていたらいつの間にか【魔女】になっていた。
その穴を埋めたら初等部の頃に戻せるかもしれない。私はあの頃の彼を取り戻したいのだ。
あの素敵なヒーローにもう一度逢いたいのだ。
昨夜は持てる全てを注ぎ込んだ攻撃だった。禁じられた魔法も少し使った。自分にも。あんなにも善がってくれた。乱れてくれた。現実で出来る私の全力だったのだ。
これでもまだ穴が開いたままなら…
「女神に頼ってみる、…か」
本心では頼りたくない。
魔女が女神を頼るなんて。
別に嫌ってはいないけど、向こうは嫌だろうしな。
私だけでなんとかしたい。
だけど、時間は有限だ。
なんとか卒業までには叶えたい。
進級して一月。
自分に課してた攻略期間はとっくに過ぎてる。
これ以上【花園】の攻略は休めない。欲しいものが手に入らなくなる。
今日空振りなら明日以降、方針を変える。
パーティプレイに切り替える。
私は自身の主催する【黒薔薇】で明日、宣言する。
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