跡形もなく吹き飛んだ機械

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 爆発したと思ったら、すぐ猛烈な風がこっちにきた。


 失敗だ。


 どうして、毎回作った機械がこうも爆発してしまうんだ。


 部屋の中央にあったそれは、跡形もなく吹き飛んで粉々になっている。


 高校の一室を使って活動している機械開発研究部は、あちこちすすにまみれてしまった。


 部活のメンバーはどいつもこいつも意欲にあふれた人間で、他の部活と比べてみても向上心の高い連中しかいないというのに。


 それに、失敗した後は毎回問題点をあらい出して、可能な限り改善するように努力しているのに。


 なぜか、毎回作った機械が爆発してしまうのだった。


 今さっき爆発した機会を作った男子生徒が、嘆きながら破片を拾い集めている。


「一体なにが駄目だったんだ」


 それに反応する仲間達も不思議そうだった。


「どこをどう間違えたのだろう」


「計画段階では完璧だったはずなのに」


 彼等はしきりに議論する。


 ああでもない、こうでもないと意見を交わし合う。


 学生の成長を促す学び舎の光景としては、これ以上ないすばらしい光景だろう。


 教師達が見たら、泣いて喜ぶはずだ。


 しかし、だからこそ盲点があった。


 生徒達が帰った後、部活のロッカーに隠れていると顧問の教師がやってきて、完成した機械に変な部品を組み込み始めた。


「俺は灰色の学生生活を送ったっていうのに、こいつらときたら。こんな機械吹き飛べばいいんだ!」


 大人の、しかも教師の嫉妬が原因だったなんてな。


 俺はロッカーの穴から眺めた光景を見て、ため息をついた。


 スマホでばっちり証拠はとったからな。


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