第102話 旅立ちの決意(2)
「父上、我々は
「ヒューバート……次? とは?」
「国外です。俺は我が国の領土を土の大地に戻しつつ、
「っ、ヒューバート……しかし、それは国内のことが落ち着いてからでもいいのではないか?」
「いいえ、一刻の猶予もありません」
もうミドレは王都しか残ってないと聞いている。
レナも連れて、サルヴェイションで俺はルオートニスを出る!
「もし、俺の留守中に帝国が
「! ヒューバート」
「
父上のような王になりたいと、俺は誓った。
そんな父なら、きっと上手く国内を治めてくれる。
今までのように。
「……まだ14年しか生きていないはずなのに、いつの間にこんなに大きくなったのだろうな、お前は」
「父上と母上の子なので」
「ははは、そうか。…………そうか」
頭を撫でられる。
とても愛おしそうに。
申し訳ないな、と思うけど、
技術を広めて、もっと多くの技術者に知恵を借り、効率を上げ、いつか元の姿に戻れるように俺ができることをやろう。
俺は俺の見たい景色のために、ルオートニス王国の次期国王として、この国のために、もっと。
「わかった。ルオートニス王国国王として、国内の安寧は俺に任せなさい。お前はルオートニス王国次期国王として、外の世界を見てくるのだ。国内だけでなく他国とも交流するのは、大変だぞ。国内だけでもこんなに大変なんだからな」
「はい! 聖殿の面倒ごとを押しつけてしまうようで、申し訳ないですが……」
「気にすることはなにもない。しかし、護衛は連れて行くこと。側近のランディは必ず連れて行きなさい。ジェラルドとアグリットは
「あ、はい! それには伝手があります」
「そうか、すでにそこまで考えられるようになっていたとは……本当にお前は神童よ」
褒めすぎですよ父上。
でもジェラルドとリーンズ先輩を連れて行けないのは、ちょっと不安だな。
ギギは二人のサポートだし……あ、リーンズ先輩の雀——ギギの同僚メメに同行を頼もうか。
「しかし、ハニュレオは遠い。国内の結界が弱まったり、結晶病患者の増加が不安だ。聖殿の聖女候補たちを借りられないか、制度を考えよう」
「あ、それなら——」
「もう考えてあるのか!?」
レナの成績向上のために、聖殿の聖女マルティアと聖女候補たちへ、病院と小神殿の連携の話を父上にもしておく。
そうすればレナの負担を減らせるし、マルティアと聖女候補たちに実績ができる。
さらに聖殿と病院の連携で病人、怪我人、結晶病患者の情報が共有できる、っていうわけですよ。
「…………」
「父上?」
「いやはや……お前が成人したら、俺は早々に引退してもよさそうだな」
「え、無理です待って待って。その覚悟はまだできてないですから」
「はははは! お前なら大丈夫だ! もちろんその案は採用だ。俺の方で聖殿を丸め込んで試行しよう。これもお前が石鹸や消毒液を開発したおかげだな」
「石鹸や消毒液はリーンズ先輩が作ったんですよ。植物由来です。褒めてあげてください」
もっと正確に言うと、ギギとメメが持っていた石鹸や消毒液のレシピを、今風にアレンジして千年前のものと遜色ない性能に仕上げたのがリーンズ先輩。
それでも十分すぎるほどすごいだろう?
「わかった。彼は優秀だな。だが、そのアグリット・リーンズもお前が見つけてきた逸材だ。やはりお前はすごいやつだよ」
「い、いや……研究塔の使用許可をくれたのは父上だし」
「ははは! 本当に謙虚なやつよ! ヒューバート、お前も次期国王として、もっと胸を張れ。謙虚は美しいが相手に舐められるきっかけになる。自分の行いに自信を持て」
「あ……。……はい!」
確かにそうだ。
これから国から出て他国を回るのに、舐められるようなことを言ってはいけない。
気をつけないと。
「もっと大きくなって帰ってこい」
「はい!」
「だが、先に母にも挨拶していけよ」
「あ、はい!」
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