第43話 試作品一号機、実験
お茶会まで一週間と迫ったとある日の放課後。
俺とジェラルドだけが研究塔に来て、組み立てを行っていた。
ギギが俺たちが授業中、持ってきた素材を分解、融解、型に流し込んで整え、組み立てるためのデッキも構築してくれたおかげでいよいよ組み立て形にできそうなのだ。
……正直、卒業までに組み立てまで漕ぎ着けるか怪しいもんだったのに、まさかの入学から一ヶ月以内に漕ぎ着けてしまった。
『素体の組み立てまではギギたちでもできますが、
「わかってるよ。でもなんつーかもう、十分すぎってぐらい十分役に立ってくれてるよ!」
『わぁーい、褒められましたー』
翼を広げてバサバサ羽ばたく。
でも飛ばない。
メカの鳥なので羽毛も落ちない。
ところでギギってなんでモデル鷹なんだろう?
飛ばないのに。
他の動物でもよくない?
犬とか、猫とか。
あと聖女モノってか、女性向けといえばもふもふじゃない?
前世は母さんが犬猫アレルギーで飼えなかったけど、今世はもふもふに触れ合いながら生きるのもありかもしれないと思いつつ、日々の勉強や稽古、教養でいっぱいいっぱいのあっぷあっぷ。
凡人なので空いた時間も勉強、鍛錬しないとダメ人間になりそうで。
ああ、でももうすぐ乗馬の訓練が始まるんだよなぁ。
この世界の馬は体がでかいから、12歳以上にならないと乗れないんだって。
楽しみだなぁ!
もふもふじゃないけど!
「組み立て完了だよ!」
「おーーー!」
吊られた状態だが、ついに
いや! 早!
「なんか思った以上に早く出来上がってしまって、ちょっと困惑してる」
「ぼくも。でも、組み上がっただけでここからこの素体に
「そうだった」
「そもそもこの新素材で聖女みたいに、
「……そうだった……」
「データ上は問題ないけど、とりあえず何回か挑戦してみよう」
「ああ、そうだな」
その辺に転がっている石ころで
が、定着がしない。
粉みたいな大きさの
この時の失敗の原因は
それではダメなのだ。
ちゃんと聖女のように定着し、結晶化耐性を得られなければ。
まあ、たとえ定着し、結晶化耐性を得られても、今度は
できなくても、
最終的に
「行くよ〜」
「頼むー」
機体中央、腹の部分に
石を起点に、光が波打って広がる。
よし、
「「あれ?」」
光が広がり続け、機体を通り越して消えた。
あああ! 貴重な
「なんでだろう? 石が大きすぎたのかな?」
「でも前に成功した石の時を基準にして、計算して割り出した大きさだろう?」
「うん……」
なんでだ?
なにが原因だ?
石じゃないとダメってこと?
「普通の石で部品から作り直すか?」
「ん〜〜〜、やっぱりそれがいいのかなぁ」
『数値記録完了。解析完了しましたー』
「ありがとう、ギギ。……ん〜〜〜」
魔法のことはわからない、と言いつつも、ジェラルドの指示で計測していた熱量だかなんだかをギギがデータ化して見せてくれる。
こうして明確なデータとして見るのは初めてだ。
貴重なものだな。
成功のためにはこういうこまめなデータが必要というわけか。
……でも
涙出てくる〜。
「……そういえば」
「ん?」
「今更だけど、杖を作るのに魔樹が必要なんだよね」
「? ああ、そうだな? ……あ、もしかして!」
「うん! 試してみる価値はあるね!」
ジェラルドが思いついた新素材は魔樹。
まーたぞろ高価なレアアイテム〜。
だが、機体の外皮を魔樹の皮で覆ってみたら、抜け出た
「よし! 魔樹をゲットだ!」
「うん!」
『ハイー! それならー、研究塔二階をご利用中の研究者さんに協力を仰いでみたらどうでしょーう? 確か、
「「え?」」
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