第13話 従う者(1)
「ヒューバート殿下、ランディです。今お時間よろしいでしょうか?」
「ランディ? ああ、構わないよ」
おお、一昨日ぶりのランディではないか。
今は学問の勉強タイム。
剣と魔法は午後からの予定なので、呼びに行く手間が減った。
ジェラルドは魔法の勉強で俺のところに顔を出さないから助かる。
まあ、普通に考えて王族に護衛も使用人の一人もつかず、部屋で一人勉強してるのって普通なのかなぁ? と疑問に思うことはあるけど。
俺の王族のイメージってもっと人が常に付きっきりで警護してるイメージだったから。
『本好き下剋上』みたいな。
これは多分、王家が今それほど重要でない現れなのだろう。
それでもせめて監視はつきそうなもんだけどなー。
それすらない。
それともランディがその役目なのだろうか。
「失礼しま——わあ!?」
「あ、すまない、散らかってて」
「え……な、なんですか、この本の量……!」
「え、図書室から借りてきたんだけど……そうだな、そろそろ返しに行かないと」
「そうではありませんよ!? 足の踏み場もないではないですか!」
えへへ、あはは、と目を泳がせる。
城の中にはでかい図書室があるんだけど、そこから借りてきた本を俺はかなり返却せず溜めていた。
前はジェラルドにそのまま貸して、ジェラルドに返却してもらってたんだけど最近は家庭教師が来るのでその機会もなく。
でも新しく借りてきてしまうから溜まる一方。
そろそろ入り口にあるやつは全部返却しなければ借りパクしたと思われちゃう。
でもさー、広い部屋って落ち着かないじゃん?
床にものがあると、なんかこう、狭くて安心感が……。
「……こんな量を、読んだのですか……?」
「うん? そっちのは読み終わってるけど、こっちはまだだよ」
入り口付近に積まれているのは百冊ほどの魔物や動植物の図鑑や魔法書、言語辞書とか。
基本俺は勉強超嫌いなんだけど、異世界の本はどれもラノベの設定資料集みたいでめちゃくちゃ面白いんだわ!
残念なのは歴史書関係で、一番古いものでも五百年前ほどのもの。
それより前のものは
——と、いう歴史書の一節を見てから今度は俄然
だってよく考えて、そして控えめに言ってそれってあの
埋蔵金とか、ロマンじゃん?
今は失われし技術とか、興奮するじゃん?
結晶化したまま時間が止まった意味の死人が、結晶病を治すみたいに治せたら、生き返るとかさぁ……夢が広がるじゃん?
特に俺、漫画では
……ダメだ、ヒューバートは漫画では砕けて死んでる……砕けてたらさすがに死ぬだろ……アーメン……。
まあ、そういう感じでとても楽しく読み漁った。
異世界ラノベってあんまり設定にこだわりがある物語って少ないけどさー、掘り下げてみたら「こんな世界でした」とかは楽しいじゃん。
この世界は今まで学んできた感じ、神様とかは存在しないっぽい。
そういえば俺がこの世界に転生した時も、異世界転生あるあるの神様や女神様に「間違えて殺しちゃいました! お詫びに特別な能力を与えて転生させましょう!」——とか、そういうやりとりはなかったんだよなぁ。
いや、くれよ、チート能力。
おかげでめちゃくちゃコツコツ勉強と練習だよ……くそう、ちょっと憧れてたのに。
「……こんな難しい歴史書まで……」
「いやぁ、でもまだまだだよ。法律関係はつまんなくて読み進めるのがしんどくて。ランディ、なにかコツとかないだろうか」
「法律書……それに、これは裁判記録ですか!? こんなものまで読んでおられるのですか!?」
「王族に生まれたからには無関係ではないだろう?」
いや、まぁ、実はちょっぴり「異世界の法律って異世界特有の罰とかあるかな。事件記録とか面白そう。俺、警察密着24時とか好き」ってノリで読み始めたんだわ。
事件記録とか裁判記録は案の定、日本に引けを取らない変態の記録がたくさんあってめちゃくちゃ面白かったです!
オススメ!
中でも浮気男を吊り上げ、チ○ポだけを
強ええええぇっ!
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