第12話 晶魔獣をお勉強
翌日からはまた勉強と剣、魔法の稽古。
と、同時に婚約が内定し、ダンスやお茶会、夜会などのマナーも授業内容に加わってくる。
体の成長に合わせてになるが、乗馬や狩り、
やだなー、晶魔獣討伐……怖すぎぃ。
漫画で見た晶魔獣は、大小様々な種類がいたが、そのすべては目も鼻もない、顔は口だけの結晶体。
いやー、漫画読んだ時は「今時杖とかワラ」とか思ってたが、実際転生してここで魔法を学ぶと理にかなっている。
魔法は魔法陣を描いて発動させるのだが、その魔法陣を描くのに杖がもっとも最適なのだ。
杖の先端に
魔力を通さなければ
魔法陣は魔法の命令書であり、属性や効果を描き込み円で括って発動させる。
魔力は誰にでも体内にあるもので、使いまくって空にすると少しずつ増えていく。
ただ、生まれつき魔力量が多い者もいる。
ジェラルドがまさにそれであり、俺の十倍近い量を最初から持っていた。
これはまさに魔法を使う才能だろう。
そしてもっと特別なのは聖女だ。
生まれつき体内に
さらに晶魔獣と同じく体内に
『救国聖女は浮気王子に捨てられる〜私を拾ったのは呪われてデュラハンになっていた魔王様でした〜』で、レナが立ち入れば結晶化して死ぬ国外——
で、その
「そういえば魔王デュラハンについてはなにか書いてないかな」
と、魔物関係の本を開く。
晶魔獣は全身が結晶の、この世界の魔物。
人を襲い、噛まれたり傷つけられたらそこから結晶病を発症してしまう、いわゆる疫病神だ。
鼠のような小さなものから、建物並みの巨大なものまで多種多様。
でも、共通して目と鼻がなく、口しかない。
本にはこれまで人間の土地に入り込んできたものが、イラスト付きで載っていた。
「……っ……」
二ページ見開きで描かれたイラストに手が止まり、喉が引き攣る。
そこに描かれていたのは結晶化津波の記録。
結晶化津波は、『救国聖女は〜』のラストで描かれているルオートニス王国滅亡の原因。
俺が見た最後の更新、最新話で描かれていた災い。
それは大量の晶魔獣の群れ。
晶魔獣が夥しい数で攻めてきて、人々はなす術もなく
映像的には風の谷のほにゃららのラストシーンみたいな感じだ。
結晶化津波は聖女の結界で防がれるもので、『救国聖女は〜』の漫画ではレナの追放と共に結界が消失。
少しずつ晶魔獣の侵入が増え、人々が怯え始めたところで一気にこれがきた。
自業自得とはいえ、国ごと滅亡はちょっとやりすぎな気がするんだよ。
あーあ、ゴルフに行った父さんを迎えにいくお駄賃の千円……あの千円で原作書籍を買って先読みしたかったなぁ。
webにもあるけど、なんか中編だったんだよ。
すっきりしない終わり方で、あとがきに『書籍の方は違う終わり方です!』とか書いてあってさあー!
そんなこと言われたら買うしかない。
続きが気になるじゃん。
……あの千円さえあれば……!
密林で注文できたのに……!!
くそう!
「うへぁ、ドラゴンもいるのか」
ページを捲ると、翼を持つワイバーンタイプや陸亀のデッカい版みたいたドラゴンなども載ってる。
大型の晶魔獣は体内の
そういえば、と魔物の本を閉じて杖のカタログを開く。
うん、やっぱりだ……どれも杖ばかり。
杖のカタログだから、当たり前なんだが……剣に魔石を埋め込んだらダメなのだろうか?
剣だって切っ先尖ってるし、魔法陣を描くのに問題なくない?
剣と魔法、両方教わるのに職業としては『剣士』『騎士』と剣で戦うタイプ、『魔法使い』『魔導具職人』と魔法で戦ったり魔導具作ったりするタイプに真っ二つで分かれてる。
なんかこう、ファンタジーあるある的な魔法剣士! とかないのか?
ジェラルドなら剣もイケるし、世界初の魔法剣士目指せそうじゃね?
今度会った時提案してみようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます