第170話 今さら炎上?

 成田悠輔氏の「老人は集団自決すればいい」という発言が、今さら炎上している。

 というか、この発言があった時に、私はネットの落書き程度にしか考えていなかったが、肩書とは恐ろしいものだ。

 イェール大学が、それは個人的な発言で大学の見解ではない、と発表した。

 いや、これはかなり大学としても問題と考えているに他ならない。

 通常、アメリカでは言論の自由はかなり高いレベルで保障されることが約束されるが、いわゆるアメリカでも「危険水域を越えた」発言であるということだ。

 何かというと「優生思想」

 障害をもつ人だけでなく、衰えた老人に対して「優生思想」である。


 神奈川の障害者施設のやまゆり園で元職員が施設入居者の障害者を殺傷する凶行があった。その犯人の言動は「障害者は社会に不要」とも思われる発言をしていたと記録がある。

 それは優生思想と言われるものだが、その凶行の後に、犯人が「そのような凶行を行ったおまえこそ社会に不要の存在」として法の裁きを受けている。


 その犯人が死刑となってこの世を去ることになって自らの過ちに気がつくだろうか。

 自分の思想が自分を裁くという結果である。


 保守とリベラルと言われるが、これは日本人の99%が正確に理解をしていない。

 なぜなら、大学院レベルの授業で習う内容であるが、簡単にいうと、定義は不正確かもしれないが、「神(キリスト教)」を起点に考えるのが保守であって、「理性(ざっくり言うと自分から見える世の中の現象、原理原則を「理性」により考えること)」を起点に据えるのが合理主義、リベラルである。


 ナチズム、優生思想というのは合理主義の異端というか、最右翼であって、「優れたものだけ生き残ればいい」という発想である。


 何が「優れたもの」かはドンドン拡散して第二次大戦中は、LGBTや自由主義まで不要のものと拡大した。

 だいたい日本はキリスト教国ではないので、真の保守は存在しない。合理主義の間で、右と左の間を揺れ動いている。

「老人は集団自決すればいい」というのは、かなり右側の方である。

 ドイツだと、言論の自由は保障されるが、そんな考えは1%未満だから、「阻止条項」でそんなヤツらには議席を与えないとなっている。

 ただ、露骨にこの思想はダメ、という規定は出来ないから、「阻止条項何パーセント」と決まっているわけだ。思想的マイノリティを良くも悪くも議席は与えず、一定のマジョリティにしか議席を与えないという仕組み。

 ただ、ナチズムを象徴するものは法で禁止されている。


 合理主義で特定の集団が絶対だと考えていたのがナチズムであったわけだが、その思想は外から見ればおかしいと分かるわけで、誰かが成田氏を、社会を関係的に捉えていない、と評したのはその通りである。


 自分の考え、思想というのは、絶対的ではなく、社会の関係から考えてると相対的なものだと思う。

 そのエビデンスを探して思い出したのが、般若心経だった。

「色即是空空即是色」だった。お釈迦様の言葉だ。


 世の中に永久不変のものは無いのだ。

 こちら側から考えたら、あちら側からも考えてみることだ。


「あなたは老人になったら自決するのですか?」と発言の前に彼は考えたのでしょうか。


 いや、成田さん、東京大学は早稲田大学の学生から、何と言われてるか、わかりますか?

「東京大学は大学というけど、大学の勉強をするのは2年しかない(最初2年の旧制高校の名残の教養学部があるから)。早稲田は4年大学の勉強をする、東京大学なんて、あんなの大学じゃないね」


※早稲田大学を4年で卒業出来る人はバブル期で3割程度で過半数は留年したと言われてますが…w


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