第5話
ワシはベッドで目を覚ますと、横で寝ているシスターを起こさない様に、身支度を済ませると足早に教会を後にする。
早朝で朝霧も発生しており、人の気配は門と中央の司令部でしかなかった。ワシは門番の者に近場の町に行くと告げてから、前線基地を後にしたのだった。
近くの町までは一本道で、歩いても二時間もあれば着くそうだ。町に着いたら朝市の屋台で朝飯を買うと良いと門番の兵士に進められたが、食料ならばある。だから町に着いても屋台には寄らずに、職探しをしないと行けなかった。
ベッドの中でシスターに色々と聞いていたおかげで、この連合王国での暮らし方が少しだけ分かった気がする。冒険者や探索者にはワシはなれないと言われてしまった。ワシの齢で冒険者や探索者が出来るとも思えないので、それは別によい。
ワシの身体で無理なく出来る仕事と言えば、なんであろうかと考えながら進んでいたら、町の外壁が見えてきていた。
ワシは町に入る為の列に並ぶと、軍曹から渡された木片を取り出す。これは町に入る為の物らしく、これがあると無いのでは料金が違うらしい。料金とは町に入る為の入場料みたいなものだ。
命を救ってくれたお礼だと軍曹は、軍で使う木片をワシに持たせてくれたが、本来は木片の持ち主しか使えないはずなのだが、あの騎士様の許可を取ってワシでも使える様にしてくれていた。人助けはしとくものだな。
門兵に木片を見せてから、持ち物検査でリュックの中身を見ただけで終わってしまった。後は入場してから考える事にする。
町の中央には広場があり、水が湧き出す池もある。ワシは近くに折り畳みの椅子を取り出し設置すると、折り畳みの台も椅子の近くに置いた。そこで朝食を作る。
今朝の朝食は、ロールパンと燻製ソーセジの炙り焼きである。台に簡易コンロを置き、その上に網を載せてから焼くだけの簡単なものだ。水は湧き水を使い、コーヒーを淹れる。
広場の朝市を眺めながらの朝食だった。人が疎らに行き交っており、少しだけ賑わっている。腕時計を見ると六時三十分を過ぎた所だった。目を覚ました者達が朝餉を作る為に朝から市場に向かい、そして品の品定めをする様子は、此処が元居た場所でないと痛感させてくれる。
朝食も食べ終えてコーヒーを飲み干すと、煙管を取り出しタバコに火をつけて一服中に、定職の事を思い出していた。
ワシに出来る事と言えば書類仕事が主で、現場の経験がある訳でもない。入社当時から本社勤務を続けてきた弊害が、此処にきて出ている。
思案に暮れていたワシは、椅子の上で考え込んでいた。それが面白かったのか、椅子が珍しいかったのか、どちらかは分からないがワシの側に、二人の女の子達が近づいてきた。
「オジサン、何してるの。その椅子って見たことないんだけど」
「リーゼ、駄目よ許可無く人を撮ったら」
ワシに質問して来ていた女の子の手には、何やら丸い玉が乗った長方形のカメラみたいな物をかまえて話しかけていた。
キミは何をしているんだい
質問を質問で返すとは失礼であるが、もう一人の女の子も言っている様に、人をカメラか何かで撮るのなら、相手に許可を取るのは常識である。
「ごめんねオジサン、此れは映像送信具って言うんだ。此れを使えばね色々な事柄を撮る事ができるの」
つまり、ライブ配信をしていると?
「ライブ配信って何かな?」
ライブ配信とは、撮った映像を生中継で雇い主へ送り、お客さんがお店に来て映像を観ることなんだ、現場の現在の様子を、逐一観察することが出来て楽しめる事が人気だね。
(この世界の人でも分かる様に言った為に、この様な説明になってしまう)
「この映像送信具も、大体は同じだけどね。お客さんがお店に来なくても良いんだよね。自宅に居ながら撮った映像をみれるんだ」
ほう、インターネットがあるのか?
「いんたーねっとって何かな」
いや、なんでもない。
「この送信機を買えば、誰でも映像を送信できて、視聴した人数で視聴料が入るんだよね」
ほう、その配信はお金を稼ぐ事ができるのか。
「うん、映像ギルドで登録してから、送信機を買えば良いだけなんだけど、軍の機密や大商会の秘密なんって映像を流したら、良くて牢獄行きで、悪ければ人間が消えちゃうんだ」
おい、超ヤバイよ。それヤバ過ぎ。
「悪さをしなければ問題なく、お金が稼げるよ」
二人は、どんな映像を送信機で撮っているんだい。
「えっ、それ聞いちゃうの」
「リーゼの馬鹿、何でこうなるのよ」
何か悪い事を聞いてしまったのかね。
「「んっ……」」
言いたくなければ、言わなくてもいいよ。
「どうするミミ」
「恥ずかしいよリーゼ」
二人がモジモジしながら、話し合いを続けていたがリーゼの説得に応じたミミが、渋々と言う感じで頭を頷く。そしてワシに人通りの無い場所に行こうと誘ってきた。
ワシは荷物を纏めると直ぐに二人の後を追った。
「この辺りなら良いかな」
「うっ、うん……此処なら大丈夫と思う」
ミミは恥ずかしそうに膝を曲げると、リーザの股間に手を伸ばしていた。そして股間を揉み始めるとリーゼの肉棒が巻きスカートから毀れ出ている。
その肉棒に頬ずりをするミミ。そして、徐に口に含むと口の中で舌を使いだしていたのか、リーゼの顔が快楽と恥ずかしさで真っ赤になっている。
「ミミ、何時もの様に口でしごいて」
ミミはコクリと頷き、頭を前後させながら、段々と頭のピストン運動が激しさを増していた。
「イクッ、ミミお口に出すよ」
「はぁいぃ、チュパァ、チュパァ……ンッ、ンッ、ウング」
リーゼはミミの口にミルクを全部だすと、ミミは出されたミルクを溢さずに飲み干した。ミミはお利口さんである。
君達は、何時もこんな事を町中でしているのか。
「うん、そうだよ」
リーゼはアヘ顔で答えてくれていた。その間も送信機で映像を取り続けており、元いた世界のライブ配信となんら変わりはなかった。
「でもね、最近は観る人が少なくなったから、戦場に行こうかって話になって此処まで来たんだよね」
「リーゼ、私は今でも反対よ」
どうやら戦場カメラマンをする事をミミは反対している。
「でも、この前の戦場の映像の撮れ高が凄かったじゃない」
「でも、あの撮っていた人は死んだって話よ」
戦場カメラマンは死ぬ事が多いのは、どの世界でも同じ様である。
「だから、このオジサンを雇って、戦場に行こうと思ったの」
「そんなの聴いてない」
おい、ワシを巻き込むのは止めてくれ。
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