第3話
目が覚めてテントからでると朝の日差しが、ワシの顔をてらしていた。昨晩の事は夢であろうと思う事にし、朝餉の仕度を始める。
昨晩の残り物で朝餉を取ると、出発準備に各自が取り掛かっていた。銘銘で忘れ物の確認や打ち合わせなどをしており、ワシは彼女達と会話が出来ないので、一人で片付けと出発の準備を開始し始める。
出発する前に用を足すに森に入ると、既に先客がいた。二人は立ったまま用を足すをたしており、昨夜の事が夢でないのを思い知らされた。ワシは彼女達と距離を離してから済ませると、荷車に戻り全員が居るかの確認を済ませてから出発を開始した。
今日は歩ける者は歩いてもらっている。昨晩の元気を今日の移動に生かして貰いたいからだ。あれだけハッスルできれば大丈夫だ。
荷車の荷台に寝かされている者は一人だけになったので、ワシの負担も下がっており今日は楽に移動が出来そうであった。その為か足取りも機能より速く、昼前までに距離を稼ぐ事ができていたのだ。
昨日よりは少なくなったが、道には女性達の仲間の亡骸が依然としてある。生存者の有無を確認は彼女達に任せ、ワシは一人の女性の先導の後に付いて行く。
途中で小休止を入れたりして、程よく休憩を挟んで体力の消費を抑え、いざって時の体力を残しておく。
今日は二人の女性を救助する事ができた。拾える命は救いたいのだから、当たり前の行動だった。
そして、昼を大分過ぎた時に、小さな村へと辿り着く時には、生存者は四人増えていた。今日だけで六人の生存者を救助した事になる。全部で十二人もの女性を救助した計算だ。
村に入ると、身分が高そうな騎士風の者が指揮を執っており、救助した者達は騎士風の指揮官の側に行くと報告をしているのだろう。何やら話し込んでいたからだ。
ワシは荷車で横になっている者に、川の水を煮沸させた物を空のペットボトルに入れた物を手渡して、水分補給をさせて待っていた。
すると。騎士風の指揮官がワシが腰掛けている前に来るなり、何かが詰まった袋を投げて寄こしていた。ワシは指揮官が何を言ってるのか理解出来なかったが、兵士を救った謝礼金であろうと思い、袋をポケットに入れた。
指揮官を助けた者が、ワシに向って何やら話し込んでいたが、指揮官が教会らしき建物を指をさす、教会に行けと行っている風であった。
ワシは女性に連れられ、教会に入ると神父さんは居なくて、シスターがそこには居ただけだった。女性兵士とシスターが何やら話しこんでおり、シスターの首がコクリと頷くと、ワシに側まで来る様に促してきた。
ワシがシスターの側まで行くと、隣に来ていた女性兵士がワシの肩を叩き、同じ真似をする様にと促していた。女性兵士の真似をして、肩膝を付きしゃがむやシスターはお祈りらしき物を開始しだす。
ワシは儀式が終えるのを待っているだけだったが、その儀式も一分もしない内に終わりを迎えた。
「さぁー此れで我らの言葉が通じているはずです」
ワシは内心の驚きを隠せないまま、顔に脂汗を流していた。先程まで何を言っているのか理解出来なかった言語が、自分の母国語に聞こえているのだ。狐に化かされているのではないかと、疑いたくなる様な場面であったからだ。
「どうしたのですか?言葉は分かりますよね」
シスターはワシに、そう言うとニッコリと笑顔を向けてくる。でも、ワシの顔は引き攣っており、額からは汗を流して黙ったままだった。
少しして。
「あの、ワシの言葉は理解できますか」
ワシが言うやシスターと女性兵士はコクリと頷く、そして、女性兵士からお礼の言葉がワシに紡がれはじめた。
「あの時に、貴君に助けて貰わなければ、私も道端で朽ちていた。感謝する」
女性兵士は、堅苦しいお礼の言葉を述べると、教会の外に出ようと言っている。外にでると、助けた者達が待っており、全員にお礼の言葉を言われ、ワシは凄く恥ずかしくなっている。
まだ足がフラフラする者は、同僚の肩を借りて、ワシの側まで来て、ワシの手を取り涙を浮かべてお礼を述べている。
救助した中で階級が一番高かった女性兵士が、皆を代表して正式にお礼を述べて、ワシへの労いを終える。女性兵士達は、この村に駐屯している部隊と合流し、後方支援の部隊と合流したら、仲間の亡骸を回収し埋葬する任務に付くそうだ。
一等軍曹の女性が言うには、あのまま一週間も死体を放置ていたら確実に、仲間の亡骸はアンデットになると言っていたが、ワシはアンデット?で頭が追いついていなかった。
指揮官の女性から貰った袋には、金貨が五枚・銀貨が五枚・大きな銅貨が五枚入っていた。軍曹に貨幣の価値を聞くと、銅貨が百枚集まり、大銅貨一枚になり、大銅貨十枚が集まると、銀貨一枚になる、そして銀貨十枚で金貨一枚になるそうだ。
ワシの報酬は中々に高かった様で、ワシが若ければ軍に入れたいと言っていた。だが、ワシは軍隊とかに興味はなかったのでお断りだ。
そうして人助けも終わり、軍曹に聞いた近くの大きな街に向けて村を出発する事になる。だが、出発は明日だ。既に夕暮れが近かった。
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