第14話

 ここで数日滞在し、周りにいる人たちが鬼人種の流れ者、口減らし、角の数が少ない、等で爪弾きされた者たちが集まった集落だとわかった。自分たちの世界では、脳に深刻な負傷で戦場復帰ができなくなった者がいきつく集落みたいなものかと思った。

 

 そして、どうやら角がない人は完全な弱者でどう扱っても良いような価値観だと知った。慣れてきたのか鬼人たちは角がないのにどうしてそんなに強いんだとしきりに聞いてくるので、角について詳しくなった。

 

 角の数、長さ、太さ、うねり、形などによって強さが大きく変わり、鬼人にとって核のようなものだと判明した。言わば、アイデンティティであったのだった。俺の場合は、人工筋肉ムキムキの強襲型の義体が・・・アイデンティティだったことを思い出した。今は、偵察型でしかも少年という・・・俺のアイデンティティィィィ!

 

 ストレス感知、精神安定剤投与します。

 

 はぁ・・・そして、俺たちが角無しなので劣っていると思い喧嘩を吹っ掛けてきたというわけだった。結果的に肉体限度で解決するのが正解だったのでよかった。

 そして、怠惰の森の近くに集落があったのは、凶悪な魔獣がこの集落を襲ってこないエリアだったが、強大な力の存在が消えた事により今度どうするか話し合っていた事がわかった。そんな時に森から俺たちが来たが、角無しで旅の者とか、何言ってんだと喧嘩を吹っ掛けられるわけだった。

 

 そして、力こそ全てだった。

 

 また、通貨価値が元いた世界とは異なり、魔力によって取引されることを知る。一定以上の魔力が身体から放出されるので、それを石に蓄積し、蓄積したものでやり取りを行う。蓄積は人によって量が異なり、それが強さの証となる。無理に魔力を身体から抽出することが出来るが、身を亡ぼす行為に近いので自然に漏れ出ている分を蓄積するのが常識となっていることだった。

 

 魔力を元に様々な魔科製品を活用できるし、通貨としても活用できる。魔力をもって生きてさえいればどうとでもなる世界だった。外部から魔力を得るのは、奪うことだが、人から奪うにしても死んでしまえば一回だけだし相手を痛めつけて奪ったとしても、痛めつけた分だけ得られる魔力は減るので痛めつける意味が減る。

 

 魔科製品は元居た世界でいうとバッテリーで稼働する製品に該当することがわかった。

 

 魔力通貨を外部から得るには害獣とされるモンスターを狩り、核を抽出してそれを売るくらいであった。

 

 あの森で襲ってきた四足歩行の生物を解体してるときに体内にある鉱石のような核は、魔石だったことを知り、拠点に置きっぱなしにしてあった魔石を取りに戻った。

 

 また、幸いにも俺は鬼眼をもらった事により魔力が生成できるようになっていた。ナミについては、魔力なしだったが貰った卵型の何かに魔力を蓄積できる特性があることがわかり、空気中の霧散してる魔力をちびちびと備蓄することにした。

 

 俺たちは、数日過ごす中で村の鬼人たちからこの世界の事を聞き出せる事を聞いたので、さらに情報を得るために街へ向かう事にした。


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