第13話
なにが、やっておしまいだよと思いながら相手との距離を詰める。相手から振り下ろされるパンチは重量も乗っておりまともにくらったら吹き飛びそうだと思った。
相手の力を利用することにし、繰り出してきたパンチをそのまま加速させるように引っ張りながら円を描き、その場ですっころんでもらった。
次に向かってくる相手がいないかすぐに残身するものの、周りは呆気を盗られているのか動かなかった。
俺はすぐにすっころばせた相手の腕を締め上げ、立ち上がろうとすると激痛が走るように関節を決めた。相手が下半身だけで立ち上がった場合は、体格さがあるのでその時は別の対応をしようと思った。
「ま、ま、参った!参った!」
「えっ」
「えっ」
ナミと俺はこの一瞬の手のひら返しの降参宣言に罠かと思ったら、完全に脱力し、周りも両手を上げていた。
お互い、顔を見合わせ、とりあえず降参のふりで襲ってくるかもしれないので警戒しながら放してあげた。特に何か攻撃するような素振りはなく、問題はなかった。
「角無しと侮り、申し訳ございませんでした。旅の方ぁ」
「「「すみませんでした」」
「あ、えーっとそれで怠惰の森って?」
ナミが煽る前に聞いた事を鬼たちに聞くことにした。
「へい、あのあたりは強大な力を持った恐ろしい存在が鎮座し、一定の力がないとその力によって死ぬと言われている森でして」
「なるほど、それでその森の近くであなた達はどうして騒いでたの?」
騒いでいたって・・・ナミの言い方はトゲがあるなぁと思った。
「へい、実は・・・つい最近、その強大な力が無くなったのですさぁ・・・森に何か異常があったにしても入るにも凶悪な魔獣が存在してますし、うちらでどうするか考えていたんですさ」
強大な力・・・強大な・・・まさか自称神様ってそういうことか?
「ふぅ~ん、まあ、いいわ。それよりここってどこなの?迷っちゃってさ、教えてくれない?」
「ここは伏魔領の端っこの捨てられた場所ですさぁ」
伏魔領、伏魔とは魔物が潜み跋扈するという意味に使われています。
「伏魔領・・・か、なるほど」
俺はここは魔界だと教えられ、魔の世界だから魔が跋扈していて、その領域の端っこにいるという事なんだろうと思った。
「ここにちょっと滞在しても問題ないか?」
俺はこの世界について情報を聞き出そうと思った。
「あら、いい考えね。どこか泊れる場所あったりするかしら?」
「空き家ならあのあたりにあるから勝手につかってくれて構わねぇが、食い物とかは自分たちでとってきてくれよ」
「ああ、ありがとう」
「ところでお前さん、レンツさんでええんだよな?」
「ああ」
「レンツさん、この女はお前さんに命令していたがお前さんよりも強いんけ?」
ナミにとって聞き捨てならないセリフだった為、鬼も驚く形相で肉体言語の語り合いとなった。
「サイキック使わなくたって、格闘術くらい身に着けてるっての!」
「「「す、すみませんでした」」」
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