異世界転移したけれど、今までの世界と比べて平和でした。

犬宰要

第1話

 破損率上昇、このままでは持ちません。

 

 アラートがけたたましく鳴って、視界いっぱいエラーの文字が浮かび上がり、とうとうここまでかと思い始めた。だが目の前の敵を一匹でも多く倒しておかないと後進に示しがつかないな、と食いしばりながら思った。

 

 敵、異電子(ディファ―)と呼ばれる生命体が現れてからずっと戦い続けてきたがようやく終わる。

 

 いびつな球体人形型の多関節タイプは表情のない能面から針状のものを突起してて、それを自分に突き刺して終わらせるつもりだろうと考えた。もう足が破損し、残ってるのは上半身だけ・・・サイボーグならではの戦い方はまだある。

 

 レーザービームソードを左手で持ち、右手で左腕を固定し、手首の制御を甘く設定した。

 

 左腕部のスタビライザーに異常発生、異常発生。

 

 左側の視界にエラーがポップアップし、邪魔なので遮断し、突撃してくる敵に対し、レーザービームソードの出力を暴走させ、その出力時にかかる重力制御を甘くし、起動を不規則にさせた。突進してきた敵は目の前で不規則にバラバラになり、細切れになった破片が自分に降りかかっていった。

 

 いくつかその破片で身体が負傷したが、後で修理してもらえば大丈夫だろうと思った。

 

「何度、死ぬなと思ってもなんとか生き残れるものだな・・・」

 

 俺はため息をつきながら、砕け散った両足なしで腕だけでホームに戻るのが面倒だなと思いながら、自動帰還モードにしスリープした。

 

 俺は、第四十三世代のサイボーグ型強襲兵レンツ・イツ・オータム。

 

 ただのしがないサイボーグ兵士だ。

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