飯処『アカツキ』

預言猫

嚆矢濫觴

飯処


 ガイアという世界において、『アカツキ』という飯屋がある。各国の王族貴族から冒険者、傭兵から農民、果ては奴隷までに名を轟かせるその飯屋はここ5年程で有名になった店だ。


 その飯屋は移動店舗であり、その飯屋の主人は世界に5人しかいないSSSランク冒険者の1人だという。そのSSSランク冒険者が世界各地を旅する時に空間魔法の使い手である主人が移動店舗、いや「家」と言った方が正しいかもしれない、を各地に開く。


 『アカツキ』に出会えたら幸運である、というのは世界各地の冒険者がこぞって言っている言葉だ。


 『アカツキ』の主人が出す料理は絶品だ。この世界の素材を使って、この世界には無い料理を出す。主人は異世界から来た「勇者」では無いか、なんてのは専らの噂だ。


 『アカツキ』はどんな者でも拒まない。唯一拒むのは『アカツキ』に敵対する者のみ。

 店の中ではどんな身分の者であれ、どんな種族の者であれ、対等。これが『アカツキ』の主人が客に定める唯一のルールであるらしい。

 店の中で喧嘩した勇者と魔王が出禁になりかけた、なんて噂もある。



 コンコンとノックが鳴り、飯屋『アカツキ』の扉が開かれ、カランコロンという音と共に今日も客を出迎える。

 今日の客はどんな者だろうか。それは『アカツキ』の主人しか分かりえない。


 これは、そんな『アカツキ』の主人である、元日本人「ミナト・クーガー」、元名「九賀 湊」のガイアという世界における、珍道中の物語である。


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