剣道部員の備忘録

かわせみ

第1話 試合開始

 初夏の昼下がり。

 とある市民体育館の片隅で、市立第三北中学校の剣道部員5名とその顧問である三沢みさわは、県大会への出場をかけた試合前のミーティングを行っていた。


「集合!」

 よく通る声で号令をかけたのは、主将の川谷かわやである。


「うん、それじゃあ始めようか。」

 それに頷いてミーティングを始めたのは顧問の三沢みさわ

「皆も分かっていると思うけど、この試合で県大会に進めるかが決まる。知っての通り、わが剣道部は過去5年に渡り県大会への出場ができていない。ここで勝てるかどうか、それが今だけじゃなくこの剣道部の先を示せるかにつながってくる。

 気負えとは言わない。ただベストを尽くしてほしい。僕からは以上だ。」


「ありがとうございました!」


『それでは決勝戦を開始します。両校の先鋒は防具の着装を済ませ、整列してください。』

 体育館全体に響き渡るアナウンス。


「整列!」

「はい!」


「それでは市立第三北中学校対、県立辻堂中学校の決勝戦を只今より開始します。一同、礼!」

「「よろしくお願いします!!」」

そして一礼。


主審の一言に呼応するかのように、会場全体から拍手が巻き起こる。


決勝戦の火蓋は切って落とされた。

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