天下界の無信仰者(イレギュラー)

奏せいや@Vtuber

プロローグ

第1話 プロローグ

 世界の敵が欲しいのは一つだけ。


 与えられたのは孤独と迫害。生誕した罪人は許されることなく檻に住む。増悪だけが肥大化するこの地に爪痕を残したい。


 この世界にいるのは自分だけ。だから世界の敵が欲しいのは一つだけ。


 友が欲しい。それだけが欲しかった。


 それだけが、どうして手に入らないのか。


「命令だ」


 呪いたくなるほどの悔しさと共に少年は言い放つ。目の前にいる金髪の少女へ向けて。跪き今も自分を見上げる彼女を見つめて。


「もう、二度と俺の前に出てくるな」


 嘆きを口にするように、別れを告げた。


 なぜこんなにも手に入らないのだろう。友達というありきたいな存在がまるで雲の上のように届かない。


 伸ばした手は払われて、少年は希望を手放した。


 友達が欲しいだけ。それだけなのに叶わない。神様なんていなくていいからこの手を掴んで欲しい。


 それだけを求めてる。


 世界の敵は、泣いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る