第10話 あなたに逢いたくて

「希美ちゃーん」

「希美ーー」

「おーい、大丈夫か?」



「えっ?何?」

「ボーッとしてんねんけど」

「魂抜けてっぞ!」

「抜けてたら死んでるし!」

「三途の川を渡る前に戻って来た感じ〜?」



3人とファーストフード店。



馬鹿な会話をする中


私の頭の中には


南波さんの事を考えてしまってる




あの日から


しばらく会っていない



本当は


逢いたくて


仕方がないんだけど……



やっぱりこれって


“恋”してる……?





「…三途の川って…リアルなんだけど…?」と、私。


「えーー、じゃあ、お花畑とか?」


「お、お花畑ーーっ!?」と、蒼介と勇真。


「死後の世界って色々な説あるんでしょ〜?」


「優人の頭ん中はメルヘンか!?」と、蒼介。


「王子様の様な顔して、言う事はメルヘンチックやねん!」


「え〜〜?そう?」



クスクス笑う私。



《本当、3人共相変わらずだなぁ〜》



「私、ちょっと化粧室行ってくるね?」

「化粧室!?」

「トイレでええやん!」


「女の子だから〜。トイレじゃなくて化粧室なんだよ〜。その辺は二人共、突っ込まないの〜」




私は席を外す。




「………………」




私の後を追うように、3人の男の人達が来ている。




「2人共、ちょっと行くよ!」

「えっ?」

「もしかすると…ヤバイかも…」

「何がやねん!」

「良いからっ!」



優人君は、すぐに察知した。



そんな私は気付く事なく用を済ませ化粧室を出た。


すると、3人の男の人達が、私を待ち伏せしている状態で、ニヤニヤしている。


私の後を来ていた彼等だ。


私はそうとは知らない。



《何か…気持ち悪いな…》

《つーか…何か…今迄感じた事のない感じ…》




「あの…何ですか…?」

「ねえ、俺達と付き合ってよ」

「えっ…?」



グイッと手を掴まれる。




「や、やだ!何…!?」


「良い事しようぜ」


耳元で囁かれた。




「…えっ!?」

「やる事やってんでしょ!?」

「な、何言って…!」

「またまたー」

「ち、違いますっ!」



ドンッと押しのけ店を飛び出した。



「希美ちゃん!」

「希美っ!」



3人が来たものの、一足遅く、私は3人に追われる。




「…油断してた…」



グイッと掴まれ、転びそうになる私のてを更にグイッと引き上げた。



「…っ…!」


私を上回る相手だと、私はすぐに感じた。


かなう相手じゃないと……




「君、強いんだって?」



「………………」



「その辺の女と違うとはいえ、俺達にはかなわないでしょ!?」



「さあ、行こう、行こう!」

「や、やだ!離せっ!」

「それが君の本性なんだね。強気な所良いね」

「ばっかじゃないの!?」



私は蹴ろうとしたが交わされた。



「甘い、甘い」



「………………」





ドスッ



「…っ…」



私はお腹を殴られ崩れ落ち始める私。




「希美ちゃんっ!」

「野郎っ!」

「ちゅーか…アイツら…ヤバイ奴等なんちゃう?」


「…だろうね…女に手を出すくらい、どうって事ないみたいだし…中途半端で出たら俺達がやられる!」





「…大丈夫ですか?」



抱き留められている私の姿を体調不良と見せ掛けるように、周囲に思わせ、そのまま連れて行かれる。




「後、追うよ!」

「OKーー!」 





しかし―――――




「…見失った…」


「何処かの建物内に入ったんだと想う。…ホテル街でもあるし…下手にウロついてたら怪しまれる可能性あるからね…」


「どないするん?」




「………………」



「…探し出すには…厳しい状況だし…」




✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




ドサッ


ベッドにおろされる。




「さっさとヤってしまおうぜ?」

「りょーーかい!」



制服が脱がされ、肌が露わになる。




「へえー…やる事やってる身体してんじゃん!」

「あー、我慢出来ねーー!」




そして私は、ふと目を覚ます。



「…えっ?や…」




私は暴れる。




「じっとしな!」




ドクン



「…ナイフ…」

「傷付きたくねーなら大人しくしろ!」



「………………」



私は首を左右に何度もふると、キッと睨んだ。




「…心に傷が付くくらいなら…身体に傷つけられた方がマシだよ!殺(や)れば!!」


「この女!」


「犯罪者になりたいなら…つーか…既に犯罪だよね?」




バシーーっ


初めて打たれた。



「……っ……」




再び睨む私。




「…この女…マジムカつく!!おいっ!アレをよこせ!」



「………………」



私の顎を掴むと一瞬にして何かを飲まされた。




「悪いな!イイ声を聞いて興奮したいけど、しばらく眠ってもらうぜ」




一気に眠気がきた。



「身体に害はないから安心しろ!ただの睡眠薬だよ」




《寝たら最後。コイツらに奪われる!》


《絶対に、やだ!》



私はドカッと力を振り絞り相手の股間を蹴った。




「…っ…」



二人に押さえられそうになるものの、うまく交わし飛び出した。




「……はあ……はあ……」



フラつく体を支えながら、とにかく建物を出た。




「………………」



「おいっ!」と、蒼介が私に気付いた。


「えっ?」


「希美や!」



3人が、私の方に行こうとした時



「こらっ!君達!」

「えっ!?」




補導員に捕まる3人。




「ちょ、ちょっと!」

「す、すみません!問題発生なんです!」

「後にしてや!」



補導員を押しのける。



その直後、さっきの3人組が建物から出て来て蒼介達の目の前に現れた。


「あの女っ!」

「何処行きやがった!」


「薬を飲んでるから、そう、遠くは行ってないはずだ!探すぞ!」



「おいっ!いたぞ!」


相手が私を見つけた。



「そうはさせるかよ!!二人共、先に希美を追えっ!」



ドンッ

押し飛ばす蒼介。



「…って…何すんだよ!」


「大事な仲間をお前らに渡すわけには、いかねーんだよ!」



取り巻きを、蹴っ飛ばし、後を追う。




「野郎ーーっ!」



後を追うように私達の方へ向かってくる彼等。




「希美っ!」

「希美ちゃん!」




聞き覚えのある声。


足を止め振り返る。




「…優…人…く…ん……勇…真…く…ん…」



私は、安心したかのように倒れ込んだ。




「希美ちゃんっ!」



そして、蒼介も追い付き、3人の男の人達も、離れた所にとはいえ、既に背後に来ている。



「…アイツら…しつけーな」




そこへ――――




蒼介達の前に人影が――――



「お前らさ~、面倒な事に巻き込まれてんじゃねーよ!」



「…南…波…さん…?」


「…行け!」


「えっ!?」



「希美を連れて行けっ!奴らは引き止める!所詮、犯罪者だしな?捕まったら、そん時は希美を頼むぞ!」


「…はいっ!」 



「…あれ…?…もしかして…南波了…?」

「マジかよ!!」

「ヤベーだろ!?」



3人は、足を止めた。



「どうした?来ねーのか?つーか…俺がいたんじゃ追われねーもんな?で?どうするんだ?」



「………………」



「お、おいっ!行くぞ!」

「あ、ああ」

「おいっ!待てよ!」



「………………」




3人は足を止めた。


そして、一人の胸倉を掴む。



「…す、すみません…!」


「あいつに何した?それだけ答えろ!!」



「…く、く、薬…」


「…薬…?」



「ただの睡眠薬だ!」


「…睡眠薬!?間違いないのか?」


「あ、ああ…」




バッと離す。



「…す、すみません…!し、失礼します!」



3人は慌てて逃げ去った。








































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