第9話 あなたへの想い〜好きになってもいいですか?〜

そんなある日の学校帰り、私は南波さんのアジトに寄った。




「南波さん…いる?」



「………………」



「なんて…いるわけ…な…ぃ…」



ベシッ

背後から頭を叩かれた。



「痛っ!」


「出入りすんなっつったろ!?」



そう言うと私の横を通り過ぎて行く。



「いや…そうなんだけど……」

「全く!」



辺りを注意しつつ気を付けながらも私の肩をグイッと抱き寄せる。



ドキッ



抱き寄せた体を離し、壁に押し付け行く道を塞いだ。



ドキッ



「で?何の用だ?単独行動は控えろって忠告したはずだが?」


「だってアイツらゲームばっかして可愛い女の子、一人、放置だよ?」


「…可愛い…女の子?…何処にいるんだ?」


「ココ」



私は自分を指差す。




「ふーん……可愛いーねぇ〜……鏡見て、モノを言いやがれ!クソガキ!」



プクッと両頬を膨らます。



「ぷっ…フグみたいに、ふくれるなよ!正に顔フグだな?」


「だって…!」



スッと離れる南波さん。



「はいはい、可愛い女の子にしといてやるよ。棚峅希美さん」



頭をポンポンとした。


ドキン…



「…あっ!何、その言い方!」


「何だよ!つーか、お前の暇潰しに付き合ってられねーんだよ!3人の所に戻れ!」


「やだ!…邪魔しないから…傍にいさせて!」



「………………」



「……分かった……戻る…戻りますっ!…ゴメン…勝手に…」



グイッと引き止められ、後頭部を押し、キスされた。



ドキッ



「約束のキスだ!絶対に邪魔すんなよ!」


「…う、うん…。つ、つーか…!約束のキスって何!?キスしたいだけでしょう!?やっぱり犯罪…っ!」



言い終える前に唇が塞がれると、大人のキスをされた。



「………………」



「犯罪者って知っておきながら来てんだろ?だったら、それくらいの覚悟くらいしろよな!希美」



ドキン…



時折見せる犯罪者の顔。


だけど……


どんどんあなたに惹かれている自分がいた




「…そ、それは…そうだよね…」




グイッと抱き寄せる。


ドキン



「邪魔しねーんだろ?だったらいな!…つーか何かあって危険な目に、お前が遭うくらいなら傍にいてもらった方が心配しなくて良い。ただし、アイツらにはメールでも良いから伝えておけ。いいな!」



「…うん…分かった…ありがとう…南波さん」



そう言うと私は微笑んだ。



「………………」


「……反則だろ…」


小声で私に聞こえないように言う南波さん。



「えっ…?何?」

「いや…何でもねーよ!」


「……??」




そして、私はメールをしておき、少しの間、南波さんの隣にいたものの……



「おい!」

「…ん…?」

「眠いんだろ?向こうで寝てな」



首を左右に振る。



「無理して起きてなくてもいい」

「…そうなんだけど…」

「…全く…世話のかかる女だな?」

「面倒と思ったでしょう?」


「思わねーよ!つーか、むしろ頑張って起きてる所、可愛いと思うけど?」




ドキッ



「えっ…?」

「嘘だ!」


「なっ…!」



クスクス笑う南波さん。



「ほら、寝てろ!」

「結構です!つーか、逆に目が覚めました!」



そう言って横になりゴロゴロしていると――――



「スー…」



いつの間にか眠っていた。



「なんだかんだ言って…眠かったんじゃねーかよ…全く…。…本当…無防備な奴…」



「………………」



「…本当…犯罪者に近付く女って初めてだぜ…普通なら寄り付かねーだろ…?…世話を焼く俺も俺だけどな…」



頭を撫でられ、私のオデコにキスをした。



「………………」




そして――――



「おいっ!希美!」

「…んー…」

「希美っ!起きろ!」



眠い目をこすりながら起きる私。




「な…に…?」

「何?じゃねーよ!泊まる気か?」

「えっ!?今、何時!?」


「夜7時を回った所だ。一応、俺も一段落ついてるから送れるけど?」




一先ず私は帰る事にしたんだけど――――




「じゃあな」



私の頭をポンとする。


ドキン



「…うん…」



別れを惜しむ自分がいる。




「…希美…?」

「…泊まれば良かったかな…?」

「えっ?」

「なんて…ゴメン…送ってくれてありがとう」

「ああ」



私は渋々、玄関に向かう。



「…南波さん…」

「どうした?」

「……いつか泊めてね?」

「は?」

「なんて…良い迷惑だよね…?おやすみ…」



グイッと腕を掴み引き寄せ、抱き寄せるとキスをした。



ドキン



「………………」



「迷惑とは思わねーよ。でも…出入りは控えた方が良いと言ったろ?」



頷く私。



「だったら辞めとけ!」


「…そうだよね…ゴメン…」



私は足早に家の中に入り、ドアに寄りかかる。




「………………」



《…私…もしかして…好きになりかけてる…?》




✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




「…全く…アイツは…何を考えてんだ?…つーか…あんな顔されたら…帰したくなくなるだろ…」









この恋 叶いますか―――?


それとも…


かなわない―――?


好きになりかけてる私の想いは


彼に届きますか……?




あなたが犯罪者でも


本当は優しくて


イイ人なんだって―――




意地悪して


からかって




でも


その時間が


正直 楽しくて



もう少し一緒にいられたら―――




そんな事を


想うようになったとき


恋が始まっているんだよね……?
















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