第2話 出会い
「えー、今日からこのクラスに……」
ガラッ
後ろ戸が開く。
「グッモーニン!」
「おはようございまーーす」
「おはよーさん」
《絶対にいるよね?遅刻野郎!》
「おっ!転入生やん!」
「マジかよ!」
「女の子って珍しいね~」
「つーか、ここ共学だったのか?」
「今年からね〜」
「えっ!?なのに男しかいねーのっておかしくね?」
「まあ、色々と事情があるんでしょ〜?」
「事情ねー」
3人は腰をおろす。
「すまない。アイツら良い奴なんだが…」
「遅刻した人達が!?」
《…ヤバ…素が…》
「………………」
さっきの三人がコソコソ話す中、私は一先ず自己紹介する。
「あの女…どう思う?」
「性格悪いんちゃう?」
「彼女、良い子だよ〜」
「おいっ!優人!何で、そう思うんだ?」
「えっ?だって彼女、俺知ってるし〜」
「えええーーっ!」と、大きい声が響いた。
「まさか!彼女!?」
「違うし〜」
「じゃあ、何だよ!」
「内緒〜」
「おいっ!」
「何でやねん!」
「…ということで、仲良くするように。それで、申し訳ないんだが、お前の席は、あそこの…」
すぐに分かった。
私の席は、あそこにいる3人の所なんだと―――
「大丈夫ですよ。先生。だって、良い人達なんですよね?あの方達」
「まあな」
《まっ、実際の所、本音分かんないけど》
私は席につく。
「宜しくねー」と、私。
「宜しく」
「ああ」
「宜しく〜」
そして3人は遅刻した割には真面目に1日、きちんと授業を受けていた。
《珍しい…不良じゃないのかな?》
私は3人を見渡す。
「何やねん!さっきから!」と、木戸勇真君。
「別に」
「何だよ!チラチラ見やがって!」と、匠 蒼介君。
「いいえ」
「俺達が授業を真面目に受けている光景が珍しいんだって〜」と、吉良優人君。
「分かるんかいっ!」と、木戸君。
「何となくだけど〜」
「………………」
「つーか…だんまりって事は、図星かよ!」と、匠君
「だって遅刻者でしょう?」
「いやいや、遅刻してきたからって悪い奴とは限らへんで?」
「えーー、どうだか…」
「なっ…!」
「なーんてね♪」
「………………」
「学校には遅れて来たけど、授業受けるのって偉いね!」
「単位とれんかったら嫌やし」
「そうか」
「つーか、どうしてここに転入してきたんだ?」
「家庭の事情でね」
「他にもあったんちゃうの?」
「あるんだろうけど、いや話はあったんだけどさ…また手続きも面倒だし…ていうか転入させる気あんのかな?と思う対応に腹立ってさー」
「あー…」
そして放課後、正門を出ると――――
「あれ?女の子?可愛いーー」
「それは、どうも」
そう言って去り始める。
「まあ、待ちなよ」
通る道を塞ぐ。
「何ですか?」
「遊びに行こうよ」
「今から?」
「もちろん」
「無理」
「即答かよ!」
「だって、無理なものは無理だし!他当たりなよ!じゃあねーー」
私は帰り始める。
グイッ
腕を掴まれた。
「別に良いじゃん!出かけるくらい」
「いや!」
そして――――
「うちの女子生徒に、ちょっかい出すの辞めてくんねーか?ゴリラ野郎」
「なっ!」
「蒼介、てめー」
「何だよ!やんのか?」
「ここ学校だし〜」
「そうやで?」
そして、睨み合いになり別れた。
「いつもの事だから」
「そう…なんだ」
「まあ、あーいう輩には気を付けた方が良いよ~?」
「良い奴なんだけどな」
「そう…なんだね」
「むしろ、アイツらは良い奴。俺らの友達だし」
「そうだったんだ」
私は3人と一緒に帰るのだった。
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