第45話 古代遺跡

「いや王女が冒険者なんて危ない!  

 いくらなんでもダメだろ!」

 

 オレが反対すると、ルイエは行くといって聞かない。


「大丈夫よ!

 私の魔法の力はあなたも知っているでしょう!」  


「いいじゃない。

 一人で行くわけじゃないんだし」


「そうだぜユーヤ。

 本人がそういってんだ。

 やらせてやろうぜ」


 リビィとザインは簡単にそういってる。


「お前ら、もしルイエに何かあったら国際問題だぞ!」


「あなただって危険なことをしてきたじゃない。

 友好親善大使さん」


「うっ......」


 そう言い返されては反論できない。


「なっ、お前の負けだユーヤ」


「そうだね」


 リビィとザインは苦笑している。


「だ、だがまたバジリスクとかでたらどうする?」


「大丈夫さ。

 いまのボクたちなら戦えるよ」


「そうだ。

 俺の槍で一突きだぜ」


 ザインはそう槍をつく真似をした。 


「知らないぞオレは......」


「じゃあ決まりね!

 さっそく行きましょう!」


(こんな積極的だったっけ?

 色々な悩みから解放されたからか)


 オレはそう思いながら、楽しそうに歩いていく三人にしぶしぶついていった。


 

(確かに人が入った形跡は少ないな。

 下も足跡がない)


 石の通路をみてオレは思った。


 オレたちはギルドで依頼クエストを受け新しく発見された遺跡ダンジョン探索にきていた。


「なあザインこの依頼オレたちへの指名らしいけど、依頼者はわかるのか」 


「ああ、この近くにすむ農夫らしい。

 見つけたから探索してほしいということだった。

 でも何でそんなこと聞くんだ?」

 

「おかしくないか...... 

 オレたちをわざわざ指名して、誰も入ってない遺跡ダンジョンの探索なんて」


「モンスターが外にでてきたら怖いかららしいな」


「でも確かにモンスター退治なら大勢に依頼してもいいはずね」


 ルイエが首をかしげる。


「まあ、その代わり依頼料もなしだからな。

 リスク覚悟でいけるやつを探したんじゃないか。

 俺たち結構ヤバいモンスターと戦ってると知られてるからな」


「それにもし何かいいアイテムがでてくるようなら、本格的に依頼するとかそういうんじゃない」


「なるほど、お金を出さないで代わりに調べてほしいってことか」


(まあ、なくはないか......)


 オレはその時、佐藤の顔を思い浮かべていた。


(いや、さすがに見つかってもない異世界の遺跡なんて外交官でも探せるわけないか......)


「どうしたの? じっとみて」


「......いやルイエはきれいだなと思って」


「えっ! 何を!?」 


 顔を伏せルイエはそういうとルイエはつかつかと先に進んでいく。


「それは素でいったのかユーヤ」


「みたいだね......」


 ザインとリビィがあきれてこっちをみている。


「何がだ。

 危ないから一人で行くなよルイエ」


 オレはルイエを走って追う。


「待てふたりとも! なにかその角にいる!」


 ザインがいうと同時に角から大きなコウモリがルイエを襲う。


「ルイエ!!」

 

 オレが叫ぶがその瞬間、ルイエの一太刀でコウモリは真っ二つになった。


「なにかいった」


 事も無げにルイエは振り返ってそういった。


「いや...... おみごと」


(魔法だけじゃなく剣術もかなり使えるんだな......)

 

 オレは怒らせないようにしようとそう思った。



 オレたちは遺跡ダンジョンを下へと進む。 


「でもルイエ、こんなところまで来なくても、世界のことは知れるだろ。

 王女として生きられるのにもったいないな」


 オレはルイエにいった。


「王女なんて退屈なだけよ。

 習い事や公務として毎日誰かとあってたわいもない話をするだけだもの」


「それで、冒険者をやってみたかったのか?」 


 ザインがきいた。


「そうわたし六英雄の話が好きなの!

 特にエルフの魔法剣士ディルタムスが!

 彼女は冒険者で世界を旅するのよ!」


「わかる! 

 ボクは大狩人ローラン!」


「魔王を退治したって話しか、千年前のおとぎ話だろ。

 なんかわいいな」


 オレがそういうと、ルイエの顔がみるみる真っ赤になっていった。


「べ、別にいいでしょ!」


「ああ、別にいいよ。

 ただかわいいなっておもっただけ」   


「完全に天然だな」 


「うん、だね」


 ザインとリビィがこっちをみてあきれてそういった。


「おとぎ話じゃないわ!

 ちゃんと証拠もあるのよ!」 


 ルイエは少しむきになっていう。


「証拠......」


「ああ、魔王を倒した六英雄は三つの魔法のアイテムをもっていた。

 ひとつは封印魔石シールストーン、ソートスタッフ、そしてソースソウル......」


「ソースソウル......」


精霊エレメンタルが作ったとされる魔力マナを吸収する宝珠ジェムだ。

 貯めれば人知をこえた魔法も使える」 


 ザインがそういうのをきいてオレは自分の杖をみた。


「確かにこのソートスタッフがあるからな。

 あながち嘘ではないのかも知れないな」


「はっ!? ソートスタッフって!

 それ本物なの?」


 ルイエが驚いていった。


「そうか、ルイエは知らなかったんだ。

 オークの国でオークの王様からユーヤが預かったんだよ」 


 リビィが説明するも、ルイエは理解できないのか口を開けてポカンとしている。


「オーク!? 

 ちょ、ちょっとあなたたち詳しく説明して!

 一体わたしが国にいる間何してたの!?」 



 ルイエは少し混乱して早口になっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る