第43話 女王
「お姉さま!!」
「ごめんなさいねルイエ、あなたにはとても苦労をかけました。
女王は抱きつくルイエの優しく頭をなでた。
それをみてキルフィナさんとジルエストさんが涙をぬぐっている。
ラハラール派閥の貴族たちは全て捕らえられた。
そして逃げたラハラールは何者かに殺されていた。
(やはり口封じに殺されたのか)
オレはそう考えていた。
「ユーヤ様」
「えっ?」
「本当にありがとうございました。
それに、ザイン様、リビィ様もこの女王ミレイユ一生忘れません」
女王は頭を下げる。
「や、やめてよ女王さま」
「そ、そうだぜ。
女王が俺たちしもじもに頭を下げるなんて......
それに俺たちはルイエのために、友達のために来ただけだから」
リビィとザインは戸惑っている。
「いえ、それだけではありません。
あなたたちのもたらした薬はこの国、いえこの世界を救うことになるでしょう。
女王としてこの国を救ってくれた礼を尽くすのは当然のこと」
そういってにっこり微笑んだ。
「えへへ」
「いや、ははは」
リビィとザインは照れている。
「それとフェルス......
あなたにも、世話になりましたね。
命を懸けて助けけくれたこと感謝いたします」
「......いえ......」
フェルスは口ごもる。
「私は......」
「まて!」
フェルスがいいかけるのをオレが止めようとすると、フェルスは手で制し、女王の前にひざまづく。
「私は、私の本当の名はバルトランド=フェアル......
あなたの父、前国王リザルドを殺害したとされる前近衛騎士団長バルトランド=クルファスが一子......」
「......クルファスの子......」
「私は父ができなかったその責務を果たそうとしたまで......
処罰は受ける覚悟です」
女王は少しの間目を閉じる。
「あなたの父が何者であろうとも、あなたがわたくしを助けてくれたのは事実です。
あなたを処罰するつもりも恨み言を言うつもりもありません」
女王は目を開けてきっぱりそういった。
「女王!
クルファスどのは王の殺害には関わっていないでしょう。
王がラハラールを重用するのを止めるよう常に進言していましたゆえ、策謀に巻き込まれたのかと......」
そうジルエストさんが話す。
「そうですか......
ならば捕らえた貴族たちからその事実が語られましょう。
その折にはあなたの父の名誉も回復されるでしょう」
そういって女王は笑った。
「あ、ありがとうございます」
フェルスは顔を伏せそう震えた声でいった。
そのあとオレたちはジルエストさんの屋敷にいく。
「フェルス......いや、えーとフェラル」
「いや、フェルスでいいよ」
ザインにフェルスが笑っていった。
「じゃあフェルス。
これからどうするんだ。
この国に残るのか」
「いいや、冒険者が自分にあってる気がするから、外の世界にいるよ。
女王は直接この国にこられるようにしてくださるそうだから」
「妹さんには真実を伝えないの?」
リビィが悲しそうにそう聞く。
「ああ、今さら兄だと伝えられても困惑するだろうからな。
伝えずにいるよ。
それがあの子の為だ。
もし父の疑惑が晴れたらイシュアが家を継げばいい」
「バルトランド家は名家、本当によいのですかな」
ジルエストさんがそうきいた。
「......オレはそういう堅苦しいのは苦手なんですよ。
ただのフェルスが性にあってる」
そういって頭をかいた。
「そうですか......
ならばなにもいいません。
では皆様ささやかながらこちらで食事でもお取りください」
「あ、あのジルエストさん......」
「なんでしょうユーヤさま。
あらたまって」
「えっと、助けるためとはいえ、お屋敷壊してすみません」
「あっ!」
「そうだな」
オレたちは謝った。
「はっはっはっ、かまいませんよ屋敷など。
そのおかげでこの国を壊されずにすみましたから」
そういってジルエストさんは笑ってくれた。
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