第19話 迷宮《ダンジョン》
「あれはドワーフだ」
ザインがいう。
(ドワーフ、たしかファンタジーにでてくる手先の器用な種族か)
オレたちに話かけてきたそのドワーフは困ったような顔をしている。
「何かようですか?」
オレが答える。
「あんたらだろ、バジリスクをやったってのは」
「......運良くですが、それがなにか」
「実は折り入って頼みたいことがあるんだ」
そういってカバンから大金がはいってる袋をみせてきた。
「
「うんうん!」
ザインとリビィが食い付く。
「おい......」
「実はある
大恩ある人の依頼だから、断るに断れねえ。
あんたらの噂を聞いて頼まれちゃくれねえか」
「
ザインは困っている。
「なんだ
オレが聞く。
「かつてあった文明の遺跡やすごい魔法使いなんかが作った魔法の迷宮さ。
お宝なんかもあるけど、ワナやモンスターが徘徊して危険なんで、かなりのベテランパーティーじゃないと潜ったりしないんだ」
「ミルフレインにもあったが誰も入れないように封印していたな」
「じゃあなしだな」
オレが言うとみんな頷く。
「やっぱ
断わ......」
「これを見てくれ」
そういうと、ポケットから一つの宝石のようなものを隠すようにみせた。
「それは! 輝光石(フローライトジェム)か!?」
「ああここだけの話、その
男は小声でいった。
「
「かなり
魔法アイテム作成にはかかせない!
はるか昔の魔法技術で作られたもので、いまは作れる者がいないんだ」
知らないオレにリビィが教えてくれた。
「かなり高額な宝石というのは知っているが、みたのは初めてだな」
フェルスがそういうと、ザインは興奮してオレたちに話す。
「おい! どうする!?
「受けよう! こんなチャンスめったにないよ!」
「オレは金がほしい、お前たちがいいなら受けたいが」
ザインたちが話すのを聞いてオレは答える。
「そんな金儲けの話をわざわざ初対面のオレたちにもってくるか?
どうもうさんくさい。
簡単な仕事なら自分一人でやるだろ」
「そこだ。
そこは俺も怪しいとは思ってる。
が、俺たちをはめて得になるやつなんていないだろ」
ザインはそういった。
「まあ、それはそうだが......」
(どうも気乗りしないがみんなはやる気のようだし、ザインとリビィにはルイエの手伝いをしてもらったからな......
それにフェリスにはまとまった金も必要か......)
オレたちは其の仕事を受けることにした。
「そうか! 受けてくれるか!
じゃあ、明日アーマス鉱山跡にきてくれ!)
そういってそのドワーフ、ビオリムさんは帰っていった。
次の日、オレたちは回復ポーションなどの準備をしてアーマス鉱山跡にきた。
そこでビオリムさんは一人待っている。
「待ってたぞ! さあ行こう!」
ビオリムさんはそういうと、鉱山跡に入っていく。
オレたちもあとに続いた。
中に入ると、かつて使ってたであろうトロッコ用のレールがしかれ、壁は木の柱で補強されていた。
「ここは鉱山の跡......
そこに
「うむ、もともとはな......
だが、モンスターがでるという噂を調べにきたとき、奥にかつての遺跡があったらしい」
オレの問いにビオリムさんが答える。
「それは誰が調べたんですか」
「地質学者だ。
ここの地質調査中モンスターをみて中にはいってみたら奥に
「冒険者ギルドに届けなかったのか?」
「冒険者ギルドに届けると、皆が我先にはいって文化財や遺物を荒らしてしまうからな。
最初に中央にある遺跡の確認を頼まれたんだ。
探索したあと冒険者ギルドに届けるよ」
ザインにビオリムさんは答える。
「まあ、
「それにほとんどの冒険者は、文化財とか遺物とかに興味ないから、壊したり盗んだりするかもしれないね」
フェルスがいうとリビィはうんうんと頷いていった。
「そもそも所有はどうなってんだ」
「みつけた人の物だよ」
オレがきくとリビィは答えた。
「それをオレたちに渡していいのか」
「いや、ここの情報と引き換えに俺達には見つけた
ビオリムさんはそういって謝った。
「まあ、
ザインはうなづいた。
「それでなんでオレたちなんです」
オレが聞く。
「その貴族のご指名なのさ、あんたらバジリスクを倒したって噂を聞いたらしくてな。
しかもあの有名なザハーストラ英雄学園の生徒だという。
学生なら文化財や遺物の価値がわかるだろうということだった」
(まあ理にはかなっているか......)
オレたちはそのまま進む。
モンスターをビオリムさんは固有魔法「形なすもの」でゴーレムを使役し容易く倒す。
その動きからビオリムさんがベテランだということがみてとれた。
「おっと! ここだこの先! ほら!」
ビオリムさんが指差す方には、明らかにいままでの茶色の岩壁とは違いグレーの石壁に変化している。
その先に行くと少し明るくなっていた。
「これは!?」
オレは驚いた。
そこには大きな空間があり、石でできた遺跡群が目の前にひろがっていたからだ。
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