第11話 ラハラール

「ミレイユお姉さま......

 いえ女王に手紙と薬を渡すためには、王宮に忍び込むしかないの」


「でも王宮だろ。

 警備も厳重で入り込めるすきがあるのか」  


「おそらくは可能でしょう。

 この国はそもそも他国のものをいれていませんから、王宮内そのものの警備はそれほど厳重ではありません。

 ......ただ少し気になることはありますが......」

  

 ジルエストは少し考える。


「王宮に入るには正門をこえなくてはないらないの」


 ルイエはそういう。


「門を開けさせる必要があるのか......

 妹のルイエでも入れないのか?」


「ええ......

 病気を理由に会うことも拒否されてるわ。

 ある男にね......

 だから手紙を信頼できる近衛騎士のキルフィナに渡しているの」


「ある男?」


「大臣のラハラール様です」


 ジルエストは答える。


「ああ、なんか国境でいってたな」


「うん、その大臣に報告って言って会えないの?」


 ザインとリビィはそういった。


「そうね......

 でも私のことを疎ましく思ってるから無理でしょうね」


「どういうこと?」  


「先ほどいった反対勢力筆頭がラハラール様なのです」


 ジルエストはそう答える。


「そう。

 そしてミレイユ亡きあとは私が王位を継ぐから余計ね」


「なるほどそれで......

 そいつが国を乗っ取ろうとしてるやつらの親玉か」


 その時、侍女が部屋にはいってきた。


「ジルエスト様、今ラハラール様が屋敷にこられています」


「なに......」


「おそらくわたしが帰ってきた報告を聞いたのね。

 会いに来るなんて......

 でもこれはチャンスだわ。

 皆は隠れていて」


 オレたちはザインの魔法で隠れた。

 それからすぐにラハラールは部屋にはいってきた。


「ルイエさま。

 お帰りとはずいぶん突然ではないですか......

 何かありましたかな」


 身なりのよい長身の髭の男がそういった。


(こいつがラハラールか、目付きわるいな)

 

「ええ、ラハラール様、異世界人に接触したのでその旨女王にお伝えに参ったのです」


「そうですか......

 私からお伝えしますのでここで報告をお願いいたします」


「いえ、直接お会いしたいのです」


「それはなりません。

 女王は病に伏せている。

 これは女王の命です。

 例えルイエ様とてそれはかないません」


(どうしても会わせたくないようだな...... 

 どうするルイエ)

 

「そうですか......

 では王宮の前でキルフィナに手紙を渡します。

 それならばよろしいでしょう?」


(うまいな。

 これで門があく)


「まあ、それならば......」


「でほ手紙をしたため明日王宮の前に参ります」


「......わかりました。

 それと......」


「なにか?」


「この屋敷の前で見慣れない風体の者たちをみたとのこと、ご存じですか」


 怪しんでいるようないやな目付きでラハラールはルイエに話した。


(オレたちのことか!

 フードをかぶっていたから、種族はみられてないと思うけど)


「ルイエさま。

 施しを求めに来たものたちでは」


 そうジルエストさんが横から話す。


「......ええ、そうでしたね。

 なにぶん最近の我が国の経済事情はご存じのとおり......

 貧しさゆえ施しを求められたのです」 


「そうでしたか......

 我らが女王の代わり、政務を行っているのですが民にまでてが回らないので」  


「そうですか、それは......

 てすが、王都の商人たちはずいぶん儲けているようでしたが」


 そういわれてラハラールはルイエをにらむ。


「ええ、彼らは自らの商才にてその富をえたのです。

 この国の現状と関係ありません」  

 

「特定の商人たちが、貴族や高官に金品を与え特権を得ていると、町の者たちが話すのを聞いたものですから、私の勘違いですね」


「......ええ、もちろんですとも、貧しいものたちは自らの不努力を棚にあげ政治を批判するは常のこと」


 不快そうにラハラールはそう答え、ではといって帰っていった。



「どうやら見張られているみたいだな」


「そうだね」 


「じゃあルイエもあぶねえんじゃねーのか」


 ザインがそういう。


「さすがに直接は狙わないでしょうね。

 もし女王より先に私が死ねば真っ先に疑われるのがあの人だから、最悪でも女王のあとに狙うわ」


「とりあえずはその心配ないか。

 じゃあ明日どうやって女王に接触するかを考えよう」



 オレたちは明日の計画をたて始めた。

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