レベル1のスキルマスター

ダークネスソルト

第1話・この世界はレベルが全てだ

 この世界はレベルが絶対である。

 レベルが上がれば攻撃力が上昇する。魔力が上昇する。俊敏が上昇する。防御力が上昇する。器用さが上昇する。HPがMPが上昇する。

 レベルが上がれば上がる程どこまでも果てしなく能力は上昇する。

 レベルが10に上がれば職業を獲得できる。

 職業を獲得すれば、その職業のレベルに応じてスキルを獲得できる。

 剣士ならばレベル10で職業を獲得した時点で剣術のスキルを剣士レベル15になれば一閃のスキルを剣士レベル20になれば筋力増加のスキルを剣士レベル50になれば上級剣術のスキルを。

 そうしてレベルを上げていってレベルが100になればエクストラスキルと言われる。圧倒的な力を持ったスキルを獲得できる。


 レベルは力だ。

 レベルは絶対だ。

 レベルは全てだ。

 この世界はレベルによって決まると言っても過言ではない。


 レベル差は絶対である。

 レベル差が10以上ある場合、レベルの低い者の与えるダメージは90%カットされる。

 逆にレベルの高い者の与えるダメージは10倍になる。


 つまりレベル差が10ある場合はどんな敵だろうがほぼ100%勝てないという訳だ。


 そんなレベルであるが限界が存在する。


 基本的にはレベル99これが一般人の限界と言われて、極一部の才能のある者を除きこのレベル99よりも上のレベルに上がることは絶対にない。

 この現象はレベル限界と言われている。そんなレベル限界は幸か不幸か12歳の時に教会で行われるステータス閲覧日に発覚する。


 そこでレベル限界が99であれば特に何も起きない。それは普通の一般人なのだから。


 しかし、レベル限界が100以上であれば国に情報が伝達されて本人の希望で貴族に仕えるか冒険者教育を受けるかを選べさせられる。


 前者を受ければ貴族の元で様々な教育を受けながら鍛えられて、貴族の私兵もしくは国の兵士として働くこととなる。後者を選べば冒険者になる為の特訓を積むために学園に入り教育を受けた後冒険者となる。

 どちらも非常に好待遇であり、選ばれれば人生安泰であり。場合によっては歴史に名を遺す英雄にだってなれる。


 でも。もし。そうもしもレベル限界が低かったらどうなる?


 それは捨てられるだ。


 一切なんの迷いもなく捨てられるのだ。その人生を悲観され、全てに絶望されて両親・友人・知人・全ての人から憐れまれ蔑まれて捨てられるのだ。


 この世界はレベルが全てだ。

 レベルによって何もかもが決まる。

 貴族は私兵に自分を護衛させながら幼少期の内からレベリングを行いレベルを上げる。

 王族は国に保管されてい経験値貯蔵の勾玉を使い12歳になった時点でレベル限界までレベルを上げさせられる。


 レベルは絶対だ。レベルが高い者は優遇される。

 何故ならレベルが高ければ強く優秀だからだ。

 もちろんレベルが高くても戦闘向きではない職業の人は強くはない。ただ、レベルが高い鍛冶師であればそれだけ質の良い強い武器が防具が作れる。

 レベルの高い調理師であればそれだけ美味しくまた能力値が一時的に加算されるような素晴らしい料理を作ることが出来る。


 レベルの高い鍛冶師であればレベル限界が100以上の凄腕冒険者から頼りにされ莫大な制作費用をもらい受け最高の環境と豊富な素材を使い最高の装備を作れる。

 レベルの高い調理師であれば国家調理師として腕を振るえる。最高の環境を用意され最高の食材を用意され、この世界の頂点と言っても過言ではない王族の為に毎日美味しい料理を作れる。


 レベルは絶対だ。

 レベルの低い者には人権はない。

 レベルが高ければ例え元奴隷だろうと貴族と対等に扱われる。

 レベルが低ければ貴族であろうと冷遇される。場合によっては捨てられ、幽閉され殺される。


 そして今から始まる物語はそんなレベルが絶対の世界でありながらレベル限界1という過酷な運命を背負わされた少年がひたすらにスキルを鍛え鍛え鍛え続けてレベルが1でありながら最強へと至る物語である。

 そして少年はレベルが絶対の世界という常識を改変する。

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