歴史の裏側 つきあい
仲仁へび(旧:離久)
第1話
「もうあの国とのつきあいもこれで5年になりますね」
「ええ、昔はこんな事は予想できませんでした」
私は、知り合いと話をしながら思いをはせる。
数年前、魔術大国である我が国は小さな隣国と同盟を結んだ。
なぜなら、敵対してもとても敵わないと思ったからだ。
だって、どんなに小細工して内側から国を壊そうとしても、すぐ見破られるのだ。
スパイを送っても、数時間後には送り返される。
旅人の荷物に爆弾をまぎれこませても、数時間後には解体されて送り返される。
悪評を流そうと思ったら、そうする前にその企みを暴露されていた。
調査して証拠を集めたとかそういうなまぬるい感じではない。
予知夢でも見たかという速度で対処されてしまった。
恐ろしくなった我が国は、敵対し続ける事ができなくなってしまったのだ。
「いまだに不思議だが、一体どんな手を使って我が国の行動を予測していたのだろうな」
「まるで想像つきませんね」
「もうあの国とのつきあいもこれで5年になるな」
「ええ、昔はこんな事は予想できませんでしたよ」
「そうか、普通はそうだよな」
もう、この国とあの国が敵対関係になる事はないだろうか。
隣国の交流が本格化して数年、俺はほっとした。
スパイを送り込んできたり、爆弾を送り込んできたり、色々してくれたが、全て対処する事が出来た。
それもこれも、俺の特殊能力のおかげだな。
なぜか死んだら過去に戻るという力があったから、その力をつかって、様々な事に対処してきたのだ。
あの国の要人達は、さぞ不思議がっているだろう。
しかし手の内をさらす馬鹿はいないさ。
もうあと数年、国と国の関係がもっと強固になるまでは、この力が必要になるかもしれないのだから。
「魔石の輸出について話し合いをしなければなりませんね」
「魔術触媒の輸入もな。貿易担当の方は、毎日忙しいな」
歴史の裏側 つきあい 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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