第6話 To know her is to like her

 この言葉を僕は好きだ。知ることは好むことに如かずともいうが、本の虫を名乗る権利がありそうな僕にとっては、知ることが好むことの窓なのである。


 ただ、僕にはやや知ることで何らかの慢心やら、えこひいきをすることがある。それが悩ましい。でも、今のところこの言葉は、僕の座右の銘に収まっている。妄信すべからずの但し書きを添えてだが。


 今回述べるのはその妄信の一つ。みなさんはドキドキ文芸部というゲームを御存じであろうか。内容が鬱すぎると話題になったホラーゲームだ。あまり内容をここで述べるのも良くないと思うので、本文を読んだ後、気になった方はぜひプレイしてみるといい。

 原作の流れを一通り知って思ったのは、事件の黒幕による凄絶な所業への歓心と、混とんとしたそれぞれの悲劇の組み合わさったカタストロフィとだった。

 何も考えなくても、黒幕が三人も殺したという事実はわかっていたが、コナンで人が死ぬたびに何も思わないのと同様に、死そのものが持つ悲劇にはさしたる関心はなかった。

 先に言ったとおり、むしろ関心を持ったのは、作者が仕掛けてきた事件の過程と全貌であった。


 しかし、その黒幕の同情を買う不手際も境遇も、もしかしたらその罪を見逃すには足らないものなのではないか、と昨日ある作品を見て思い至ることになった。


 その作品がDokiDoki raincloud である。本作を題材とした二次創作作品である。この作品では、第一の事件の被害者が、死までの間に見た光景を描写している。

 ここでは、黒幕が「お前は他人に迷惑をかけてばかりだ」、「生きる価値がないのだから死んでしまったほうがみんなのためになる」等の明確な暴言を突きつけ、被害者を追い込んでいくという姿があった。やはりその姿はかなり陰湿で、本編で語られなかった黒幕の悪意を鮮明に知ることとなった。

 黒幕は、それでも友人思いの優しいやつであると考えていた自分の偏見の恐ろしさをここではっきり知った。目的があまり大きくないものであったのに、達成手段としの言動も行動はかなり冷酷。

 自分の想像力の甘さを感じた。多分、現実の女子の喧嘩にも疎いままであろう。


 意外と要約がうまくいってしまったので、作品に語ることがこんなに少なくなってしまった.........。また、この作品を通してうつ病の心理状況を確認することもできた。昔自分も、鬱気味だと病院で診察されたことがあったが、その時の記憶も忘れてしまい、いまいちその感覚を忘れてしまっていたのでちょうどよかった。カクヨムでの交流も、少し良くなると思う。

 本当に何か、このゲームは選択肢やら、プレーヤーの行動範囲が少なすぎるから、ただのアニメとも言えなくないが被害者の心理をくまなく照らして理解しやすいように作られている。考えすぎ、だとか、自身を嘘で塗り固めてでも周囲との協調を守ろうとする気持など、とても納得いった。

 また、自殺はどうしても理解できないということは僕は以前も述べたが、この作品では特に原作をプレイしていて意味不明であったこの被害者の死の理由がちゃんと理解できた。


 なんか、僕は思考年齢が老けているので、ついつい分析してしまうから物語の世界に入り込むとか、テーマパークだとか、没頭することが難しいのだが、こういうメタい分析はそれはそれで楽しんでいる。

 ぜひぜひプレイなさってください。被害者の死は絶対ですので病み展開からは逃れられませんが、得られるものは多いと思いますよ。


紹介作品

原作ドキドキ文芸部

https://www.youtube.com/watch?v=CpHL2rQ5aKY&list=PLHQ3sQpg4yq-PY5VYmPMYEbYDHloGs0t0


二次創作のdokidoki raincloud

https://www.youtube.com/watch?v=E968g5S8_CE&list=PLnVTmVHs8erYNc0lgVGTyzcOyW4CutFs_


おまけ

黒幕が救済されるアフターストーリー。希望しかない泣。最初からこうであってほしかった。

https://www.youtube.com/watch?v=Qy5Y6i4YZP0


ごめんなさい、youtubeで見ちゃって。でも原作は買ったほうがいいと思います。switchにもありますし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る