第16話 銅
「ガンバ!なのよー
ガンバ!だわさー」
いつものように俺の周囲を騒がしく
ツルハシで固い地面を打ち付けていると、気配が湧いて来る。
身長が2メートル程度の
それよりも確実に背の高い
深夜作業の開始時に
俺はまずは五月蝿い
それで半壊した
あれは
サッとその魔宝石を奪う。
すると人型をしていた
やっぱり、そうじゃないかと思ったんだ。
今までに倒した
もしかするとこの魔法石が
残り3体の五月蝿い
後はツルハシで砕いて魔法石を奪うだけの簡単なお仕事です。
俺は簡単に魔法石を5つ手に入れた。
「やったのよー!
やっただわさー!」
喜ぶのはまだ早い。
俺は
残骸の中には魔法石らしき物も見えるが、今手を差し出したら大ヤケド。冷えるのを待つとしよう。
「なんかもうスッカリ雑魚扱いなのよね」
「雑魚と言うか、害虫退治だな」
俺は害虫を潰したトコロで気分良く、ツルハシを振るおうとするが。
いかんな。高熱で
「むぅ、買ったばかりなのに……」
「アンタ魔法石たくさん貯めこんでるだわさ。
それって人間界じゃお宝なんでしょ。
ツルハシなんて大量に買い込んじゃえばいいだわさ~」
ふーむ。それしか無いかな。あまりショッチュウ売店行ってると目立ってしまいそうだ。しかし他人の行動に気をかけてられる程、鉱山労働者はヒマでも無い。
そう言えば売店のオバちゃんが鉄製の新製品があると言っていたような。
現在俺が使っているツルハシは青銅製。おそらく錫の割合は少ない。
青銅と言うと青緑色を思い浮かべるかもしれない。鎌倉大仏や自由の女神像。だが、あれは長年空気にさらされ表面が酸化して緑青を生じた場合の色なのである。単純に言うと表面が錆びた錆色。
身近な物で思い浮かべるなら十円玉。
あの赤胴色が青銅の色合いなのだ。錫の割合を増やすと光沢を増し金色に近づく。更に錫の分量を上げると銀色に変る。古代の銅鏡などはこの白銅なのだ。こいつは見た目は美しくいのだが、壊れやすくもなるのである。だからその後、中世で鏡を作る時は赤胴色の銅製品に水銀を用いて鏡面とする製法に変化する。
あー、前世で製鉄の事を学んでるうちに着いた知識だな。
実は300年程度前まで日本は世界一の銅産出国だった。足尾銅山なんかが有名。だけど聞いた事があるだろう。銅の混じった排水、坑道から漏れ出した亜硫酸ガス、足尾銅山鉱毒事件と言うヤツ。
そのせいもあって現在日本では銅山を全て閉めてしまった。それだけでも無く、輸入銅のコストが下がった影響も大きいだろうが。
そんな話はいーや。
とにかく明日売店行って、鉄製のツルハシ買うとするかな。
「ちぇー、なのよ」
床を掘り進められない、と知って
「明日も頑張るから、そう怒るな」
俺はちみっちゃい子の頭を撫でてやる。力を込め過ぎないよう慎重に軽く。
「うーん、分かっただわさ」
割とアッサリ
「うんじゃ、外に行く?
また
「ああ、だけどちょっと待ってくれ」
俺は先ほどの
魔法石は…………
残ったのは溶けて固まった金属。おそらく銅が中心の鈍い金色の塊。
「この金属……放っておくとまた
「そうかもねーなのよ」
俺は冷えた金属の塊を魔法石と一緒に妖精のマントにしまった。
「このマント、一体どれだけ入るんだ?」
「ん-、知らないだわさ。
一応妖精族の秘宝なのよ。
いくらでも入るんじゃないのだわさ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます