第33話 覚醒
「え〜!!!そんなの嫌!!」私は泣き出した。
「七香!聞きなさい、覚醒出来なくて毎日血を欲しがってさまよう七香を見るのはいやよ、それは死ぬことよりもはるかに辛いわ、だからお願い、覚醒して」
「お母さん……そんなの嫌だよ〜……私を出産したためにそんな体になってるのに、今度は私を覚醒させるために命も投げ出すの?………お母さんの人生って何なの?何のためにあったの?」
私は溢れる涙を止めることが出来ない。
「七香、あなたは私の誇りよ、そして私の最愛の娘よ、その娘を守れるんだったら他に何もいらないわ」
「お母さん………そんなの……いやだよ〜………もっとお母さんんと一緒にいたいよ〜………」
「七香、愛してるわ、私は七香が生まれて幸せだった、だからその幸せを壊さないで」
「お母さん………………」
「大丈夫、お母さんはいつも七香を見守ってるわ」優しく微笑んだ。
お父さんは点滴の準備を始めた。
「七香、時間がないんだ、早速始めるよ」
「お父さん、お母さん、私どうなるの?」
「大丈夫だよ七香、一週間ほど体が痛いかもしれないが、その後徐々に楽になるから」
お父さんは私の腕に点滴を始めた。
「七香、頑張って覚醒してね、私も見守ってるから」
「うん…………」
私は気が遠くなってきた、そして激しい痛みが全身を襲ってきた。
身体中の細胞がすべて壊れるような気がした。
その痛みは何日も続いた。
頭の中には様々な色が混ざり合って竜巻のように上がっていく。
痛みも幻想も一つにまとまると、そこから一筋の光が輝き出しやがて虹の色に変わった。
やがて痛みは薄くなり体がふわ〜と軽くなった。
「七香、大丈夫かい?」お父さんが私の顔を覗き込んんだ。
「私覚醒出来たの?」
「ああ、無事に出来たみたいだよ」
「お母さんは?」
「七香、よかったね」お母さんは優しく微笑んでくれた。
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