第26話 七香旅立つ
七香の顔から血の気が引いて青くなって来た。
「待ちなさい!」突然遥ちゃんが飛び出してきた。
「あんたも『ラム』なの?」そう言って絵美衣は遥ちゃんに手をかざした。
「そんなの私には効かないわ!」そう言って遥ちゃんは近くにあった傘を投げた。
「そう、効かないという事はただの人間ね」そういうと突き飛ばした。
遥ちゃんも下駄箱に吹っ飛ばされ、ぶつかって倒れた。
絵美衣は七香にとどめを刺そうとした。
その瞬間、一本の矢が絵美衣の顔をかすめて壁に突き刺さった。
「何!何なの」絵美衣が振り向くと穂乃果ちゃんが大きく弓を引いて絵美衣を狙っている。
「遥ちゃん、七香ちゃんを連れて逃げて」穂乃果ちゃんが叫んだ。
「あんたは何者?」絵美衣が睨んだ。
「私は2人の友達よ、あなたが凄い人でもこの弓から放たれる矢は交わせないわ」そう言って睨んだ。
2人は睨み合った。
「まあいいわ、もうどうせ覚醒出来ないだろうし、死んだも同然よ」笑って教室へ向かった。
俺は父親に連絡して救急車を呼んだ、そして七香を病院へ運んだ。
病室には美奈子さんが駆けつけてくれた。
七香は極端に衰弱しているので病院の集中治療室で手当を受けた。
何とか命はとりとめたが、七香はもう喋る力も無くなっている。
美奈子さんは父に話して七香の父親と母親がいる北海道の病院まで七香を急遽搬送する事になった。
七香は空港まで救急車で運ばれ、北海道へ旅立った。
俺はどうする事も出来ず、ただ七香の無事を祈った。
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