第4話  黄色味の血

教室の休み時間に「旭〜、黄色味の血が欲しいよ〜」そっと耳元で囁いた。


七香は味を色で言ってくる、何となくわかるような…………わからないような………なのだ。


俺は考えた、『黄色味ねえ……タンポポみたいな素朴な女の子……』そして周りを見渡した。


目に止まったのは図書部員の真宮樹絵まみやきえちゃんだ。


俺は七香に目配せして樹絵ちゃんを推薦してみる。


七香は立ち上がって樹絵ちゃんの傍に行くと、糸くずを持って近づく。


「樹絵ちゃん、襟に糸くずついてるよ」そう言って近づき匂いを確かめる。


「ありがとう七香ちゃん」樹絵ちゃんは無邪気に微笑んだ。


樹絵ちゃんはメガネをかけてるが、とても可愛いしスタイルもいい。


少し赤い髪は緩いウエーブがかかっている、真面目で素朴な美少女だ。


七香は俺のところへ戻ってきた。


「黄色だけど少しうすい、恋したら美味しくなりそう」そう呟く。


「そうなんだ………」俺はどうするか考えた。


樹絵ちゃんが恋しそうな男の子は…………そうだ藤間麗音とうまれおんがいい、イケメン四天王の一人でゲームの天才だ。


麗音とは仲がいいし、ゲームの大会へ行くための協力もしている。


「麗音!ちょっといいか?」


「何だよ旭」


「今度の日曜にゲームセンターでWデートしないか?」


「いいけどメンバーは?」


「俺と七香、そして麗音と樹絵ちゃん」


「ふ〜ん、樹絵ちゃんか、眼鏡っ子も可愛いしOKだよ」


「じゃあ誘ってみるよ」俺は樹絵ちゃんの席まで行くと話しかける。


「ねえ樹絵ちゃん、今度の日曜にゲームセンターでWデートしない?」

本を読んでいた樹絵ちゃんは「えっ?」びっくりして俺を見た。


「私がWデートですか?」


「うん、俺と七香、そして麗音と樹絵ちゃんってメンバーなんだけど、ダメ?」


「私でいいんですか?」首を傾げる。


「うん、麗音が樹絵ちゃんがいいってさ」


樹絵ちゃんは顔を赤らめて目をパチクリさせている。


「い・いいですけど…………」ゆっくり頷く。


「ありがとう、じゃあ日曜の10時にゲームセンターで待ってるね」


そう言って自分の席へ戻って来る。


七香は俺を見てニッコリと微笑んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る