第13話

 レイラ先生の暗い一面を見せられて、不安しかなかったが曲がりなりにも先生なのでとりあえず従う俺と笹凪。

 格納庫の中に入ると、ひんやり冷蔵庫みたいに涼しくてお腹でも壊しそうだ。

 笹凪がぶるると小さく震えた。

 男の格好してるくせにいちいち可愛いやつだな。

 中は壁際にいくつかコンテナがあるが、がらんと広々としていて何も無い。

 レイラ先生が奥の壁際に口を開けた扉のない出入口で俺たちに手を振ってくる。


「何してんだ? 早くこい」


 そこは地下へと続く階段になっていた。

 鉄の階段は歩くとカツンカツンと靴音が響く。

 二十六段降りて踊り場で折り返し、さらに二十六段。

 すると、まるっと同じ広さの階になり、高い天井から吊り下げられた沢山の半円形の水銀灯・・・じゃないな、多分ハロゲンの明かりが室内をこれでもかと明るく照らし、左右に十機ずつ計二十機の白い大きな人型ロボットがハンガーにやや斜めに寝かされた形で並べられていた。

 身の丈5メートルはあるだろうか。ずんぐりとした重厚な機体は攻略本の設定で見たスマートな機体とはかけ離れていて当然見覚えは無い。


「おおー! オクスタン!!」


 歓喜の声を上げる笹凪。

 俺も言葉を失ってほうっと見ていると、レイラ先生に促されて階段から少し離れた真ん中に立てられた楽譜置きみたいな台に連れられて、充電されている五個のパッド端末の中から一個ずつ渡される。


「このパッドを専用のコードで繋いで、点検開始を押すだけでいい。コードを挿す場所はコクピットのコンソールの正面下にあるから自分で見つけること。ここまではオーケー?」


「はぁ、挿すだけでいいんですか」


「一機あたりどのくらい時間かかるの?」


 お、流石笹凪。

 それ結構重要だよな。


「一機あたり大体十五分だ」


 十五分。なんだそんなもんか、一人十機やるとして、四機で役一時間。

 ・・・二時間半・・・。

 地味に長いんですけど?


「いやー、よかったよかった。私一人じゃあ軽く六時間かかっちゃうからな! 助かったよ」


「計算合わなくないですか!?」


「私は私の専用機が別にあるからな」


 そう言ってレイラ先生は階段脇の鉄扉に向かってボタンを押した。

 チーンと音が鳴りエレベーターが・・・。


「エレベーターあるんじゃないですか!」


「あっはっは、若者は体力が資本だからな!」


「俺たちとそんな変わらなく見えるんですが!?」


「私は今年で二十四だこう見えてもな」


 うん。全然ストライクゾーンです。綺麗でスタイル良いお姉さん好き。

 けどレイラ先生は時々怖いのが玉に瑕。


「検査中の空いた時間は、奥にあるシミュレーターで遊んでて良いから! じゃあ頼んだよ!?」


 颯爽とエレベーターに乗り込んで、レイラ先生はさらに地下へと潜って行った。

 笹凪と顔を見合わせる。


「シミュレーターだって!!」


「うん。そうだな」


「ちゃっちゃと点検してシミュレーターやろうぜ!?」


 身長150に満たないちっちゃい姿で黄色い声ではしゃぐ笹凪可愛いなあ!

 よし、とりあえず機体の操縦も覚えないとだし、みんなより一足早く・・・はないのか?

 別の時間でシミュレーターを使えるのは自分にとっても有意義だ。

 早速やろう!




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