和三盆
@かあ
第1話 電話
「やっと1週間乗り切ったーー!」
陸太は仕事を終えて家に帰宅すると一人で缶ビールを片手に歓喜の声を上げていた。30歳になり仕事もだいぶ慣れてきて、平凡な日々を送り続けている陸太にとって、仕事終わりのビールが唯一の楽しみである。
その楽しみを味わっていると、珍しく携帯に着信が入った。画面を見ると中学生の時にずっと遊んでいた雄太である。もう15年近く会ってないけれどいきなりどうしたんだろう?とりあえず電話に出てみた。
「もしもし」
「お、もしもし。久しぶりだな!久々にあのメンバーで遊ぼうや」
懐かしいような懐かしくないような、、、もう変声期も過ぎているので声色も変わっている。ただとても嬉しかった。あの頃の楽しい思い出が蘇る。
「いきなりなんだよー。びっくりしたよ!俺も集まりたいよ。最近楽しいこともなくてさ。」
「よかったー。久しぶりすぎて断られるんじゃないかと思ったよ。よし、あとは紗耶にも声かけてみるな。」
「オッケー。じゃあ日程とかおいおい決めような。」
電話を切った。あの3人で遊ぶのなんて何年ぶりだろう。中学校を卒業して以来、高校生の時に一度集まっただけだった気がする。もう何年も会ってないけれどあの時のように戻れたならば、そんなに楽しいかと胸を膨らませてビールを一気飲みした。
その夜、雄也から
「紗耶もOKだって。明後日の日曜日とか行ける?」
とメールが来た。雄也のこの行動力は中学生の時と変わっていないんだなと思いつつ、
「いけるよ!」
と返信をして布団に入った。今日はぐっすり眠れそうだ。
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