第20話 鍛治屋

「貴重な鉄を使って何ガラクタを作ってるんだこのバカ息子!!」


「イッテェエエエエ!!」


少年は頭を抱えて鍛治場の地面を転がり回る。


「はぁ・・・まったく・・・ちょっと外出した矢先にだ」


ゴツい父親は少年の打った鉄の棒を容赦なく地面に叩きつけ、真っ二つにへし折る。


「あああ!!ワイの【キラニックスエレフタシィー】がぁアアア!!」


「何が【キラニックスだこのバカ!!。農具もまともに作らない半人前めが」


「農具なんか誰だって打てるだろ!!ワイはワイ自分だけしか打てない凄い武器を作りたいっていってるやんけ!!」


「そう言うのはしっかりした腕と心を持った鍛治師に成ってから言え!!」


ゴツイ父親は鍛治場の隅の箱に立ててある剣を持ち出し、自身の腰に掛けてある槌で打ち壊した。


「なぁぁにぃぃいやぁああてぇえええるうううんんんんんうううだぁぁアアア!!」


少年は必死に父親の手から大事な作品達を取り戻そうとするが。父親の力の前になす統べもなく全て屑鉄と成り果てた。


「【レイモンシェン】【アワードユウ】【アークレイド】・・・」


「これに懲りたら、真面目に作るんだな」


父親のあまりの言いように少年の頭に血が上る。


「ふざけんなクソジジイ!!。ワイがあの子達にどれだけの思いと時間を費やしたかわかっちょるんか!!」


「ガラクタに使う時間があるなら勉強せい!!」


父親は怒る息子の頭に拳骨を落として黙らせる。


少年は頭を抱えて座り込むと。目を赤く晴らし、歯をくいしばって自分の槌を手に取り鍛治場から走って出ていく。


「待てゴラァ!!」


父親が息子を追いかけようとすると、出入口で除いていた【ケインズ】に気付いて足を止める。


「お前はこの前の・・・」


「この前はどうも・・・」


二人は気まずそうに挨拶すると、父親は何かを諦めたように。丸太の椅子にすわった。


「ハァアア・・・」


怒りを吐き出すように父親はため息を付き、【ケインズ】は若干ビビりながらも父親の出方を見る。


「【ファイゼ】村の件なら行かねぇぞ」


「はい・・・」


「じゃあテメェ・・・何で此処にいた?」


ドスの効いた声に【ケインズ】は背筋が自然と伸びる。


「鍛治の音が聞こえてきたのでつい・・・」


悪い事をした時の子供のように段々声が小さくなる【ケインズ】に父親は何か吹っ切れたように笑い、膝を叩く。


「あっはっはっはっは!!そうかいそうかい!!」


ひとしきり父親は笑うと【ケインズ】に視線を向ける。


「なぁ、テメェ【ケインズ】って言ったか?」


「はい!!」


「さっき出ていったのは俺の三番のバカ息子で【サイモン】だ」


「はい!!」


「アイツは鍛治の腕はいい。上の二人と比べても年、経験の差を感じさせない腕だ」


「はい」


「だが、心がなっちゃいねぇ。鍛治ってのは武器、農具、金物に関わらず全てが我が子であり、買い手の相棒になる」


「はい」


「それをアイツは武器ばかり拘って他を見下してやがる」


父親は膝を強く叩き、音か鍛治場に響く。


「俺はそんなアイツの考えを打ち直してやりてぇ。だからアイツなら【ファイゼ】村に行かせてやってもいい」


「本当ですか!!」


「ああ、何度言っても聞かねぇし。一度決まった形を打ち直して変えるより、砕いて溶かした方が早いしな」


「ありがとうございます!!」


【ケインズ】は父親に腰を折って頭を下げると。父親は何かを思い付いたように【ケインズ】をその場に待たせて奥へ行くと。数分後に手紙を持って戻り、【ケインズ】に渡す。


「これはアイツの説得が失敗したら渡せ、中を見れば嫌でもやってくれるはずだ。それとアイツはおそらく裏手の資材置き場で鉄鋼石を砕いているだろうよ。昔っから嫌な事があると石に八つ当たりして気をまぎらわせてるからな」


「はい!!分かりました!!」


「一つ釘を刺しておくが、【サイモン】はあげた訳じゃねぇからな・・・必ず無事で返せよ」


「はい!!勿論です!!」


父親の威圧的な顔にも億さずに【ケインズ】は返事をし、父親は少し安心した表情で奥へ帰っていった。


「あのクソ親父がぁあああ!!」


【サイモン】は資材置き場で山積みになってる鉄鋼を一つ拾い、野球のノックのように投げ、槌で打ち砕く。鉄鋼石の破片が鉄鋼石の山にめり込み、鉄鋼石の雪崩が突き刺さった欠片を埋めて流れ下る。


「ふざけんなァアアア!!」


夜中にも関わらず【サイモン】は叫びなが鉄鋼石を打ち砕き、やがて息を切らし地面に座り込む。


「なんでわかってくんねぇかなぁ・・・」


自然と流れた涙が地面に落ち、小さなシミを作ると。背後から足音が聞こえ、あわてて涙を拭い鉄鋼石を投げつける。


【わっと!?】


「わりぃ!?」


てっきり父親かと思って鉄鋼石を投げつけた相手は【サイモン】と同年代の少年だった。


「おめぇは・・・」


【サイモン】は目の前の少年の顔を最近見た気がして記憶を掘り返す。


「お願いいたします!!どうしても鍛治屋さんの力が必要なんです!!【ファイゼ】村に来ていただけませんか!!」


この前、鍛治場で鉄を打ってる最中でも聞こえてきた声。気になって店の方を覗くとあの少年が必死に頭を父親に下げて自分の村に来てほしいと頼み込んでいた。


「なぁお前!!鍛治屋を探してるんだろ!!」


「えっ・・・はい?」


「ワイをテメェの村につれていけ!!。テメェの所の鍛治屋になってやる。その代わりワイの好きな武器を好きなだけ打たせろ!!」


「あっ!?はい!!」


【サイモン】の勢いに流されるま【ケインズ】は【サイモン】と握手を交わし、日の出をまって【ファイゼ】村に出発することが決まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る