【第二ノ怪】紫陽花の思い出 その8
「小学生とか中学生くらいの時いつもあそこで遊んでたよね! いやぁなつかしいわ!」
「めっちゃ今は行ってませんみたいな言い方してるけど、前も行ったよな。と言うか頻度は減ってるけど結構行ってるよな」
「え……だってお金無いもん。いやあるけど、節約しないと、いざという時に遊べないからね」
昔を懐かしむように話していると、ゆうきくんがまたもや目を輝かせて話しかけてきた。
「お兄ちゃんたちも行ったことあるの!?」
「お兄ちゃんたちも昔はゆうきくんみたいだったんだよ」
俺は気付いた。話に花を咲かせるのはいいことだが早くしないと夜になってしまうと。
「なんとなくの場所はわかったから移動しながらはなそっか。そういえばゆうきくんって上の名前何なのかな?」
ここが分からないと家が特定できない。お願いだ! 知っていてくれ! と思いながら聞いた。
「河上ゆうきだよ! ねっね! 早く行こうよ!」
俺はホッとした。
ゆうきくんはと言うと俺たちの腕を引っ張ってどこかに行こうとしている。
あれ? ゆうきくんって幽霊だよな。何で触れるんだ!?
***
俺たちは公園に向かっていた。
さっきの疑問は後で
(俺は何も知らない。考えないようにしよう。このままじゃあ心労になるわ)
俺は朝から少し体調が悪かったと言うこともあり、3人の中で1番げっそりしていた。と言うか何でこんなにも体調悪いんだよ。
雨が降ったり、天気が悪かったりすると、気圧の影響で頭が痛くなったり、眠くなったり、体が怠くなると言う症状が出る人がいる。俺の姉貴はそのタイプだ。俺は雨の日でもめちゃくちゃ活発なタイプだから、こんなに体調が悪くなるなんて、レアなのだ。
しっかしまぁほんとに怠いし、頭も痛い。極論を言うと朝からもっと体調が悪くなっている。古書店にいた時は全然しんどくなかったんだけどなぁ。
俺が悶々と考えていると、
「ねぇはるちゃん……大丈夫? 顔面蒼白だよ……少し休もっか?」
「お兄ちゃん……僕のせいだよね……僕がママに会いたいって言ったから……」
またもや、ゆうきくんが泣きそうになる。慌てて答える。
「違う違う! ゆうきくんのせいじゃ無いよ! ちょっと朝から調子が悪かっただけだよ! 心配してくれてありがとね!」
「えっ俺は?」
「はあ、智也もありがと」
「どういたしまして〜! でもおかしいよね……はるちゃんいつも熱出てても元気なのに」
「それは言い過ぎ」
てちてちと歩きながら少しずつ目的地に近づいていく。近づくと一緒に、怠くなってきているのに気付いた。呼吸が荒くなる。
「ねぇ! はるちゃん! ほんとに大丈夫!? 休憩しないと!」
智也の言葉を聞き流して、荒くなる呼吸を落ち着かせようとしながら、感じていたことを話した。
「っはぁはぁ……なぁ、やっぱ今日おかしくねぇか? 空気なんていつもより生臭い感じするし、ちょっと暗すぎる。おかしい、絶対おかしい」
そこで俺の意識は途切れた。
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