232 シェアハウス男3人組②

「またまたあ。ダグ先輩も満更じゃないっスよね、ジェーンちゃんのこと」

「うっ。まあ、そうっていうか、まあ、うーん。ジェーンにはすごく親しみを感じるんだよな。放っておけないとこもあるし……」


 そう言いながらダグラスのさ迷う目は何度もディノを映した。ディノはああそうかと思う。

 これまでジェーンの気を引こうと、いたずら紛いの接触をくり返してきた。周りにジェーンへの好意が知られようと構わず、むしろ好都合だと思ってはばからなかったのだから、ダグラスやルークに気があると思われていて当然だ。

 だからダグラスはディノに遠慮して、遠回しな言い草をしているのだろう。


「まったく。プルメリアというものがありながら……。罪作りな先輩っスね」

「あのな! 俺が一番戸惑ってるんだよ。なんでかジェーンとははじめて会った気がしないんだ」

「はあ。それって運命の人ってやつっスか?」

「案外そうかもな」


 ディノが口を開いたとたん、ダグラスとルークは固まった。信じられないと言った目で凝視してくる。

 ルークは冗談で言ったのだと気づいてももう遅かった。


「あんたはそういうキャラじゃないっしょ」

「うるせえな。俺のことはどうでもいいだろ」


 ギロリとにらんでもへらへら笑っているルークを放り、ディノはダグラスに目を移す。

 恋愛の駆け引きや、女性を誘う気の利いた文句なんてわからない。ジェーンにもほとんどちょっかいしかかけられなかった。そんなディノは、ロンが提示した案をそのまま口にする。


「あんた、ジェーンとデートしろよ。そこで大事な話をすればいい」

「デートって……。でもプルメリアとかカレンにそう思われると、ほら、恥ずいっていうか」

「ルークに一日ロジャー役代わってもらって、ガーデンでデートしたらどうだ?」

「そうか。彼女が仕事中なら……」

「あんたなに企んでるんスか」

「なんだ。代役はできないのか?」


 ルークの言いたいことはわかっていて、あえて煽る。


「できるに決まってるっしょ! 俺はロジャー王の代役として指名されてるんスから」


 ムキになってルークは言い返してきたが、ダグラスは真剣な眼差しをして誤魔化されてくれなかった。


「ディノはそれでいいのか? ジェーンに気があるんじゃ……」

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