218 ケーキと恋ばな③
「ごめんごめん。だって見ればわかるもん、ジェーンのダグを見る目」
「目、ですか?」
「うん。恋してる女の子の目だよ。ハートが浮かんでるの」
ここ、と言ってプルメリアはジェーンの目元をちょんとつつく。とたん、またしても熱が上がった頬を押さえてジェーンはうつむいた。
そんなにわかりやすい顔してたのかな。カレンもルークも、ディノにも呆れられていただろうか。もしダグにまで気づかれていたら、もう合わせる顔がない。
「ねえ。ジェーンはダグのどこが好きなの?」
プルメリアはまるでお茶請けのように疑問を口にする。気まずい空気になるかと思っていたジェーンは拍子抜けした。
でも彼女の気持ちがわかる気がする。支えが取れたジェーンと同じ、プルメリアもきっとあれこれ想像して悶々とするより、ひとつの事実に絞れた安堵を感じているんじゃないだろうか。
そんな彼女の前だからこそ、ジェーンも安心してケーキを食べられる。
「たくさんあります。気さくで明るいところとか、仲間思いなところ。それにルークと子どものようにはしゃいでいる姿も好きです」
「わかる! ダグってああ見えてルークくんのことライバル視してるよね。ゲームとかで負けると、本気で悔しがってるところがかわいいの」
「お弁当でも悔しがってましたよ!」
「そうなのー!? もう、先輩なのに大人げないよね」
そう言いつつ、くしゅりとほころんだプルメリアの笑顔は、ダグラスへのあたたかい思いに満ちていた。愛しい人を思い浮かべた時、無性に走り出したくなるようなくすぐったさがジェーンにもわかる。
プルメリアも私と同じなんだ。
そう思ったらやたらうれしくなって、ジェーンもいっしょにくすくすと笑った。
「私もね、ダグのやさしいところが好きなんだ。なんだろう、私のことちゃんと見てくれている気がするの」
上辺だけの言葉や定型文の励ましは、誰にだって言うことができる。でもダグラスはその時、その相手に合った言葉を、考えてくれている。プルメリアの言う通り、彼はきっと人のことをよく見ているのだろう。
ダグラスのパートナー役として、近くで見てきたプルメリアが惹かれるのもわかる。ジェーンは素直に思った。するとひとつの疑問が湧く。
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