128 新遊具対決③

 レイジのかけ声で一斉に地面を踏み鳴らす。ほとばしった魔力の煌めきが三人を繋ぎ、円を描いて輝いた。そこからもくもくと立ち昇るクリスの魔力が、壁を形成していくのに合わせ、ジェーンは円の中央に向かって床を創造する。

 カレンやプルメリアの服創りで練習した繊細な魔力調節で、大量の粒を創り出し床を埋め尽くした。お次はポリウレタン製のストレッチ生地に、綿雲のふわふわ糸を織り交ぜた布で覆っていく。

 繋がった魔力から、レイジとクリスも仕上げに入っていると察知した。

 ジェーンはクリスの補佐に回り、彼といっしょに一気に天井を創り上げていく。鋭い感性を持つクリスに造形は任せ、ジェーンはてっぺんまでしっかり包むことに専念した。

 そうしてジャスパーとブレイド、ロン、アナベラの前に、まゆのような形をした白い建物が姿を現した。


「こりゃなんだ、おい。屋内施設か?」


 まゆを見上げて驚嘆の声をもらすジャスパーの手を、ジェーンは掴んで引っ張った。


「ついてきてください! みなさんをご案内します!」


 振り返りながらも弾む足を止めないジェーンに、ジャスパーは「おもしろそうだ」と乗ってくる。ロンもうきうきとした笑みを浮かべ、ブレイドは興味深そうな目を建物に向けたまま歩き出した。

 アナベラだけは大儀そうに顔をしかめ、遅れてついてくる。

 レイジが開けて待ち構えていた扉を潜ると、そこは床も壁も天井も黒一色の世界だった。


「ロッカーでくつとくつ下を脱ぎ、裾をひざまでまくってください。荷物もすべてロッカーに預けていってください」

「なに。くつを脱ぐですって? めんどうじゃない!」


 これまた黒いロッカー前に立ったクリスが説明するや否や、アナベラはケチをつける。ブレイドが小さくうなった。


「確かに手間だな。なにがはじまるのか知らないが、案内に人員を割く必要もある」

「どうかな。手ぶらで楽しめる解放感があるぞ。なにかと荷物の増える子ども連れの親にはありがたい。それにほら、感じないか?」


 さっそくくつもくつ下も脱ぎ、ズボンの裾をまくり上げながらジャスパーはあたりを目で示す。その顔はプレゼントの包みを前にした子どものように、わくわくと輝いていた。

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