126 新遊具対決①

「それで、大事な用件ってなんだ」


 ブレイドが端的に尋ねる。年齢が近いためか、ロンとは砕けた雰囲気だ。


「ここにふたつの新遊具案がある。今から実際に創造してもらうから、どちらがよりガーデンに相応しいか決めて欲しいんだ」

「今から創るんですか!」


 アナベラとレイジ、ふたりを手で示して言ったロンにクリスは目をまるめる。


「うん。紙の上で話し合うのはもう十分のはずだよ。僕たちは創造魔法士だ。想像を実現させて決めよう」


 大きさは半分でいいから、とロンはやさしく微笑む。確かにそれが一番はっきりする方法だ。

 視線を寄越したレイジに、ジェーンは緊張する胸を押さえてうなずく。きっとレイジはこの企画に、ガーデンの整備士としてのすべてをぶつける覚悟だ。そんな先輩を前に、弱気になんてなっていられない。


「クリストファーさん」

「わかってるよ。僕だって決めたんだから」


 ジェーンはクリスとともにレイジの横へ進み出る。アナベラの眉がひくりと反応した。ひん曲がった唇は不満そうだったが、ジャスパーとブレイドが判定役を請け負うと、しぶしぶ二重あごを縦に振った。


「じゃあアナベラ部長から、いいかな。ひとりできつかったら僕も手伝うよ」

「いいえ、ロン園長」


 アナベラはパチンと指を鳴らす。その手を前で組み、すまして佇む彼女の後ろで急速に光が集まりはじめた。


「結構ですわ。半分の大きさならお朝食前ですもの」


 光の柱が七本、天を衝いて伸び上がる。それらは大きく弧を描き、七色に光り輝いた。

 そしてくるくると回るアナベラの手に従って、雲の山が渦を巻き高く隆起していく。その螺旋らせんに沿って滴るのは、水の滑り台だ。

 さらさらとせせらぎを奏でながら雲の山の下り、虹の橋を潜り抜ける。


「水の滑り台と虹のフォトスポットですわ。お子さんは滑り台で遊び、親御さんはそれを虹の橋から撮影できますの。今はひとつずつしか創りませんでしたけれど、滑り台も橋ももっと増やして伸ばす予定です。コースも様々で」


 言いながらアナベラは滑り台に向かって手を振る。するとゆるやかなカーブを描き落差の低いものから、山の頂上から一気に下るものへと変化した。

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