お馬鹿過ぎるキツネの妄想

maris

第1話

 一匹のキツネがお山に住んでいました。

キツネは、スマホを使って小説投稿サイト

で小説を書いたり、読んだりしていました。

そのうち、お友達もでき、その生活を楽しんでいました。


そして、お友達の中でも、

タヌキ君の書く小説が好きで、更新される度に読んでいました。

ある日、そのお話が気になって仕方なくなったので、レビューを書いてみる事にしました。



それは、語彙力もセンスもないキツネにとって、中々大変で、時間かかるものでした。

けれど、キツネはその時間が結構楽しくて

好きでした。



そして、レビューを投稿すると

タヌキ君から、御礼のコメントが届きました。

それが、何故か近況ノートに届いたので、

キツネは不思議に思いました。

何故だろう?

投稿した最新作の応援コメント欄を使うのでは?


ハッと気付きました。


キツネの書いた最新作は、ヘンテコで

コメントを書けるようなものではなかったのです。


そして、タヌキ君に申し訳なく思いました。



それから暫くして、タヌキ君の別の小説が更新されていることに気付きました。

それも、大好きな小説でした。

期待通り、とても面白く素晴らしいお話でした。嬉しくなったキツネは、応援コメントを書こうと思いましたが、こんなに楽しいお話をみんなに伝えたいと思いレビューを書く方を選びました。



どうにかこうにか出来あがり、いざ投稿しようとする時になり、ふと思ったのです。

きっと律儀なタヌキ君のことだから、御礼コメントを書いてくれるに違いない。

そうなると、また困らせてしまうのかもしれない、と。



それで、最近書いたちょっと真面目なお話を先に投稿してから、レビューを投稿しました。



キツネは猟師が罠を仕掛けたように、安心していました。

これで、タヌキ君が困らないはず。




けれど、妄想癖のあるお馬鹿なキツネには

その置かれるかどうかわからないコメントが

タヌキ君が打つ将棋の最後の一手のように思えたのです。

そして、ほぼ確実にあそこに置かれるはず、でも、もしかしたら、また近況ノートか、いやもっと別の場所だったりして、タヌキ君は一体何処のコメント欄を使うのか?コメントする事はないのかも、と考えていたら面白くって仕方ありませんでした。



◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈




そんな事をすっかり忘れていた時

スマホの通知ベルに赤い♡がつきました。

何気なく開くと一瞬何が起きたのか理解出来ませんでした。

良く見るとそれは誰かがレビューを書いてくれたものでした。

そして、それがタヌキ君が書いたものだとわかった時は、衝撃を受けて固まってしまいました。

レビューを頂いた事がなかったので、想定外だったのです。

レビューは、その為に貴重な時間を割いて考えて頂いた、とても有り難く嬉しいものなのです。

勿論キツネはとても、嬉しいと思いました。

けれど、その時の馬鹿なキツネにとっては、それは最後の一手だったのです。



そんな一手があったなんて!!

考えもしなかったと驚き、歓喜したのです。




御礼コメントの代わりにレビュー。

それには、恐ろしい程の威力がありました。


コメント入れなく済むばかりではなく(そんな事はありません)

相手に御礼コメントを書かせ、しかも

その後返信というコメント欄を手に入れることが出来るのですから。

適当なコメント欄が見つけられない時には、

良い方法かもしれません(な訳ありません)



そんな最強な一手を打つなんて。

やっぱりタヌキ君は、頭の良い凄い人だ!!


キツネは詰みました。



白旗を挙げたけれど、

キツネは、とてもHAPPYな気持ちになって

御礼コメント書きました。

嬉しさを爆発させて。

もしかして、一緒に将棋をしていました?

と謎な文を添えて。

キツネは、タヌキ君がの仕掛けた罠に気付いて、意表をついた手段を取ったのだと勘違いしたのです。




実際は、コメント置く場がなくて、仕方なく取った手段だったのかもしれませんが……




暫くすると、タヌキ君から返信コメントが届きました。

すると、其処には

今迄レビューを書かなかったお詫びのような、また書きます、みたいな文章が書いてあったのです。

キツネはそんな事を伝えたかった訳では、なかったのですが、あまりにも大喜びしたコメントを書いたので、レビューが欲しくてたまらないのだと勘違いされてしまったのでした。




キツネは、やっと自分だけが馬鹿な妄想をし、1人遊びをしていたことに気付き、タヌキ君に誤解されるようなコメントを送ってしまった事を猛省し、心から申し訳なく思いました。

キツネには、もったいない程素晴らしいレビューを書いて下さったのに。




他の読者が変に思うかもしれないので、コメント欄に事情を書くことも出来ません。



どうすることも出来なかったのです。

心が折れました。



そんなキツネのスマホに

タヌキ君が書いてくれた次のレビューが

届きました……



タヌキ君本当にごめんなさい。



キャッチコピー

【レビューが欲しいと勘違いされたと思っているキツネが誤解を解きたい為だけに書いたお話】




「あ~、やっぱりタヌキ君の書くお話はどれも最高に面白い!!でも僕の1番のお気に入りは、これ!」


URL ✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る