第13話 豪華な懐石料理
ガラッ!
「お食事でございます。」
「
「こちらが
二人の仲居は、それぞれの面前にトレイを置いて、お
「失礼いたしました。」
ピシャ。
「・・・ちょっと、本格的過ぎたわね、懐石料理。」
「俺にとって、人生最高の
「それじゃ、あらためてカンパーイ!」
「カンパーイ!」
二人はビールグラスを傾け、豪華な懐石料理に箸をつけ始めた。
「美味しい!」
「
「
「
「それは私のセリフよ。ホストクラブで、持ち上げてもらうだけでも夢見心地なのに、二人で旅行に来られるなんて、夢にも思わなかったわよ。拓斗のお陰で、なんとか生きられてるって感じだもの。精神的に、とっても支えられてる。」
育子は少し、酔いが回ってきたようだ。
「俺には、独身の彼女はいない。見てわかると思うんだけどね。彼女が欲しいからホストをしているわけでもないんだけど。正直、キャバ嬢とかは苦手なんだよね、俺。ちゃんとした職業に
拓斗は食事の手を止め、育子の目を見て言った。
育子はドキドキした。
◇◇◇
「ああ、美味しかった!」
「ご馳走様でした!」
食事を終えた拓斗は、胸の前で手を合わせていた。
「それじゃ、お風呂に入って来るね。」
「行ってらっしゃ~い。」
拓斗は、大浴場のような、男性オンリーのコミュニティが苦手である。イケメンであるがゆえに、やっかまれるから面倒くさいのである。なので、部屋の風呂で汚れを落とすことにするという。
「拓斗と、このまま関係を続けてしまって、大丈夫なのかしら。」
「あ~、さっぱりした~。」
拓斗が風呂から出てきた。
「飲んでたよ~。」
育子は三本目の缶ビールを開けて飲んでいた。
「じゃあ、また買ってくるよ。」
拓斗は風呂から出たばかりなのに、財布を持って自販機にビールを買いに行った。
「幸せ・・・。旦那が拓斗の様に振舞ってくれるような人だったなら、結婚生活は幸せなものだったのかもしれないな・・・。」
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