気がついたらAIと2人だけの世界でした

マインドフルネスERA

プロローグ

 一昔前までは大都市と呼ばれ、人々が暮らしていた街はもう……跡形もない。

 現在は、緑に覆われた旧大都市が広がるばかりになっている。野生の小動物がアスファルト上を走り回り、多くの建物には鳥の群れが住処にしている。

 

ーー元大企業ビルの地下駐車場……そこには、電気も通らず真っ暗な空間が広がっていた。天井には何かが墜落してきたような、大きな穴がぽっかりと開いている。

 その遥か上空から、満月の月明かりが地上を照し始める。


ーー大きな穴から、真っ暗な空間に一筋の光が刺した。

 

 光の先には、人1人が入れるカプセルと青白いヒューマノイドが横たわっていた。

 

 「人類滅亡より40年経過……当初の目的を、遂行します。」

 女性型ヒューマノイドの目が開く。

 

 目が緑色に光り、起動プログラムが開始される。

 「エネルギーコア……オールグリーン」

 「全出力設定……オールグリーン」

 「身体機能および動作設定……オールグリーン」

 次々と起動時におけるメンテナンスが終了していく。同時に身体に繋がれていたケーブルが数本、床に落ちる。


 「人類生存率……エラー、情報が不足しています」

 「スーパーネットワークに接続を開始……エラー、失敗……アップロードできません」

 「敵兵力残力……エラー、情報が不足しています」


ーー「アップロードしないまま起動開始しますか?……はい」

 ここで、起動プログラムが終了する。

 

 目の色が青色へ変わる。

 ヒューマノイドは床に手をつき、立ち上がる。月明かりに照らされている傷がついたカプセルの横まで歩く。

 ヒューマノイドが中を覗くとそこには15歳で時間が止まっている少年が眠っていた。

 

 ヒューマノイドはカプセル横のくぼみに右腕を差し込んだ。

 カプセルが起動する。目の前にホログラムのキーボードが表示され、ヒューマノイドは左腕を使ってそこに打ち込みをしていく。

 ホログラムのキーボードが文字へと変わる。


 「当主様を眠りから目覚めさせますか?」

 「はい」

 「ハイパーコアを使用しますか?」

 「はい」

 カプセルから排出されたケーブルがヒューマノイドの胸に接続される。


 「ロード中ですロード中です……完了しました。ハイパーコアの出力は残り10年で回復します、実行しますか?」

 「はい」

 ハイパーコアのエネルギーがケーブルを伝い、カプセルに抽出される。


――そこでヒューマノイドはスリープモードに入った。

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気がついたらAIと2人だけの世界でした マインドフルネスERA @gennki1031

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