le coup de foudre

le coup de foudre

「よっ」

「はい…」

　こんなクールなヒトだと思わなかったけど、俺的にはアリです。ありがとうございます。

「名波（ななみ）さんですよね？」

「はい…」

　ますます好きになったかも知れない。

「俺、黒（くろ）です」

「そのようですね」

　少しはにかんだ笑顔に、もっとグッと来てしまった。

「そんな名波さんにはこちらです」

「それは…」

　名波さんと俺が推している某アニメのキャラの限定品。

　以前、これが欲しいとSNSで呟いていたのを思い出して持参した。

　想像以上に驚いてて、持って来た甲斐があった。

「いい仕事してらっしゃいますねぇ」

「限定品ですからねぇ」

　名波さんは女性ですが、俺と一緒のことをしていてちょっと笑ってしまった。

「パンツ、気になるでしょ」

「ですよねぇ」

「見ちゃうでしょう。コレは…こんな感じで」

「名波さん、自重してください…」

　思わず、限定品を丁重に遠ざけた。

「もっと見たかったのに…」

　残念がる名波さんも可愛いので、もう少し反応を見てみたいと思ったが、抑えた。

　初対面でグイグイ性癖見せるのも…。名波さんになら受け入れてもらえそうだけど。

「名波さんにはコレかと思いまして…」

「………」

　嬉し過ぎるあまり、絶句の名波さん。以前、これも欲しいとSNSで呟いていたモノで。今月は少し余裕があったのと名波さんに何かお渡ししたいと常日頃思っていて…。

「黒さん、ありがとう…」

「名波さんにはいつも助けていただいておりますので…」

　何のコト？って顔してますけど、名波さんには言葉の重さがあって。いくつか心無い言葉が書き込まれた時に助けていただいた。

「記憶にないんだけど、ありがたくいただくね…」

　ありがとう。と言って、またあらゆる方向から覗き見る名波さんの姿に、笑ってしまった。