第9話 手紙

丘の上のホテル 海を見下ろす

今年は 1人で来ました


あなた どうしていますか


あの日は 

雨が降っていて

私たちの恋も 嵐と共に

深い海の底へ


同じ景色は

1年後の今日 

眩しいほど きれいで

涙があふれました


どんなに願っても

叶わないことがあると 知りました

あなたを

忘れようとすれば するほど

移りゆく季節に 刻まれていくだけ


でも わかっています

もう2度と あの夏は来ないのですね


それでも ここへ来てしまいました

もうすぐ あなたの好きな夏がきます

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