4 シングルマザー
「美愛里先生の十年間って…」
「私、31歳のとき、結婚したんです。」
美愛里先生は、淡々と話し始めた。
「相手は、三つ前いた学校の学年主任の先生で、私より五つ年上の人でした。」
新学期の準備で騒がしい職員室の中で、美愛里先生の静かな声が聞こえる。
「付き合って2年半ぐらいで結婚したんですけど、」
辛そうな声。その中ではっきり聞こえた。
「心臓の持病を悪化させて、十年前なくなりました。」
胸が苦しい。
「あの人は、最期に『俺のことは気にせず、再婚したかったらしろよ。』そう言って、優しく笑って、眠りました。」
美愛里先生が話し終えたときには、俺の頬に水滴が流れていた。
美愛里先生は涙を袖で拭うと
「そろそろ帰りましょう」
と俺に手を差し伸べてくれた。
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