寓話使いとマナニア放浪・旅物語。

ボウガ

プロローグ

 このマナエデンの世界でわかっている歴史は単純にひとつ。世界は一度人々の手によって繁栄し、都市がいたるところに生まれ、しかし発展しすぎた科学と文明同士が衝突し滅んだという事だけ。埋没した都市の上に、人々は町や村をつくり今また旧文明の復興の機会をうかがっている。


 ある時まで世界は、中央をさけるように6つの国が牛耳っていた。中央には巨大な力と過去の文明が眠っており、国家はそれを奪いあい戦争をしていたが、やがて中央の力が何者にも支配も解明もできないと知ると、中央は静かな非干渉地帯となった。そんな折、かつての文明がのこしていった未知の力“マナ”と首の端末“マナカラー”が、魔術とよばれる超能力を生み出すと、“闇影”という悪い魔術を扱う悪い魔術師を多く生み出し、その魔術師が“影の教会”をつくり、教団はひとまとまりとなり、しだいに帝国マナ・エンパイアを築きあげる。初めは地方の小国だったその帝国は魔術の力によって6つの国の境界の領地を少しずつ吸い取り、ついには大陸の中央に領土をひろげた。それは旧文明の主要な国の都市を覆いつくす大きさで、6つの国は一つの連合国“マナニア”となり現在も帝国に抵抗していたが、かつてあった国々の境目には帝国の領地がひろがり分断され、人々は中央の帝国の力に恐れをなしていた。


 人々に残された希望は“良き魔術師”とも呼ばれる“光明の教会”とその術師、そして人々の中に時折うまれることのある“マナ使い”とよばれる突然変異のミュータントだった。人々は混乱する国の中で、小さな集団をつくり、それぞれに町や村などの小さなコミュニティを自分たちで統治するようになった。国の中枢はほとんど帝国の監視下にあったためだ。


 人々の信仰はマナの中に神が宿るとされるマナ信仰、神の名は“マナミス”。人々はいずれその神や人類の希望たちがもたらす光がやがて帝国のつくった影と闇を晴らすことができると信じていた。


 帝国は人々の暮らす世界にも進行をつづけている。影の力を使い、普通の人々がちかづくことのできない結界を張った影の鉄道“カーゴレール”を世界中にはしらせる、鉄道は魔術師を運んだり、物資を運んだりするのに使われる。いつでも人々は帝国に監視されている。帝国の最終目的は大陸の中央、旧文明の首都にある“魔人”の研究にあったと噂される。“魔人”はかつて6つの国が解明できなかった旧文明の遺産の一つである。旧文明の首都の地下にそれは眠る。人型の兵器とされ旧文明の科学の粋を集めたもので、現代の文明では解明できない技術だ。魔人は人の夢に入り込むことができ、運命さえも左右する力を持つとされる、帝国が稼働させることができたら、帝国はそれによって完全な統治を完成させることができるだろう。

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