十六夜立志伝 現代歴史好きが安土桃山に飛ばされたら
@izayoizuki
第1部 天下統一までの道
第1話異常気象
「……今回の竜巻では、13人が死傷、あるいは行方不明となっており……」
また、竜巻のニュースだ。最近になってこの日本も竜巻が出るようになった。
異常気象すぎるのだが、これも地球温暖化のせいらしい。
竜巻もかなり破壊力があるらしく、通ったあとは残骸しか残らないらしい。
私は農家だがらいつも天気予報は見てるし、確認はしてるが……それでもここ最近の竜巻の数はおかしい。
その時だった、耳障りな音がラジオと携帯電話から大きな音で流れたのだ。
そして2つ揃って機械音声らしき声がこう言い放った。
「竜巻警報です、今すぐに避難しましょう」
農家にどうやって逃げろと?今から自転車で飛ばしたとしても間に合う訳がない。
更には車にバイクは免許がないから使えない。
もはや私ではどうしようもなく、死んだなと言う現実だけを見せつけてくれた。
……一応生き延びたことを考えて鞄に趣味の歴史書と歴史文庫と祖父から譲り受けた火縄銃を手にして。それと水と食料と。
これが、本当に私自身とんでもない特異点になるとも知らずに
家の屋根が吹き飛び、私の体が天に舞う感じがした所で、柱と思われる木材が脳天に直撃した所で私は意識を失った。
「……?」
目が覚めたらそこは見慣れぬ土地だった。
わかる事は、整備されてない道に鞄と火縄銃があるのと20発の手製早合弾薬があるだけだった。後は食糧も水もある……これはどう言うことだ?
後は、腐った死体の匂いがかなり鼻に来るのだった。
見た感じ……かなりやばい所に来たのは間違いないらしい。
そんな時、死体を漁り武器などを集めてる男が私のことを見つめてきた。
「おや、生き残りがいましたかい……いやぁこいつぁ驚いた」
「何があったんですか?」
「いやぁただの小競り合いですよ、あっしはその屍から武器を取れるだけ取って売っぱらう貧しい農家でして」
「つまらないことを聞きますが、今は何年ですか?」
「ん?今は永禄三年(1560年)ですが?」
……なんて事だ、ここは戦国時代真っ只中じゃないか。
戦国時代に来てしまったし、私の体も妙に若い。これは一体?
いや、考えることはそれだけではない!なんで私のこの格好に違和感を感じないんだ!?
「もし、何故私の格好を見ても驚かないので?」
「そりゃ同じ格好の人が何人も見たからですよ。みんななんか竜巻がなんかと言ってましたぜ?」
「……」
さらに訳がわからなくなってきた、竜巻に飲み込まれた人がいるとでも?
もしそうだとするなら先客がいるのは間違いなさそうだが……どこにいる?しかも現代人に歩いていけるのだろうか?この劣悪な道で街まで……
「もしよろしければ街まで送りましょうかい?あっしの死体漁りにも手伝ってもらいやすが」
「お願いします、街もどこか知りたいですし」
こうして、この狂った戦国時代にて私の一生が始まるのだった。
井ノ口の町
1560年当時としては小さな町であるが鍛冶屋等があり、また馬屋等米屋等座においても当時の最低限の設備はあった。
更に歴史的には先になるが隣町には後々今浜の町ができるため、成長性が見込める土地に運良くいけたのは私としてもある意味では最高だった。
「刀を籠にいれてるとはいえ30本持ってくとか、あんた農民の生まれではなさそうで」
「いや、かなり重たいっす……町ついて足腰ガタガタで休みたいです…」
かくいう、私は井ノ口の町についたはいいが慣れない道に約30kgの荷物を持って山道とかを歩いたのだ。現代人からしたら限界なのだ。
「ご覧、ご覧、ご覧」
「?」
この口調のおかしさからしてもう私はわかった。この人は現代人と。
だからとあるゲームキャラを出してわかるかを試そうと思った。
「サラちゃんがいるよ?」
「サラちゃん!!!!!!!!」
……まさかとは思った、こんなところに知り合いがいるわけ無いと思ってた。
だが、現実は彼と私は知り合いだったのだ。
名前もハンドルネームだが知ってるのだ。
「我カブキマスクか我ぇ!」
「アイエエエエエ!私の事知ってるナンデ!?」
「名は今は伏せるがこっちも現代人だ!何故戦国時代に!」
「竜巻に飲み込まれたからとしか」
……本当に竜巻がここに連れてきたのであれば恐らくだが『私達と同類の境遇の人達が多数いる』のは確定した。
こうなった以上、私にある野望が芽生えた。
『日本を統一して朝鮮出兵等の負の遺産類を止める』と
「何油売ってやがる!下働きに戻れ!」
「はーい」
「あ、鍛冶屋さんや。刀30本売りたいんですが」
「お前よくその状況で言えるな……うーんいいのと悪いのを全部調べてたらキリがねぇ、一纏めで20貫なら売ろう」
「んしゃそれで、後下働き出来ません?」
「まぁいいが……」
とりあえずこれで寝食には困らなくなった、後はどうやって現代人を探すかだ。
その辺はなんとかなるだろう、きっと。
「あっしも儲かったし後は自力で頑張ってくだせぇ……では」
「助かりました、貴方の無事を祈ります」
「そんじゃ早速だが砂鉄を掘ってくれないか?掘り方はカブキに教わって一緒にやってくれや……」
「わかりました、ほら行くよカブキさん」
「アーイ!」
私達はこうして近くの山までいくのだった。
現代でいう岐阜県近くはあまり砂鉄は取りにくく、時間はかかるのを知るのはこの時私はまだ知らなかった
山
「まず、穴を掘ります」
「はい」
「次にね、砂鉄が入ってる岩を砕きます」
「はい」
「後はそれを持ってくだけだね」
「それを水の力でやれば早く終わらね?」
「天才か?けどよぉ……いまその方法禁止だぜ?」
「は?」
「確かその方法は鉄穴流しよね?今は夏だからダメなのよ」
「クソッタレ!力仕事するしかねぇ!」
「ところで君イズ誰?」
「ああ、ハンドルネームでいうなら十六夜月さんだよ」
「あぁ君かあ!よかった知ってる人で」
少しはこれで誤解は解けただろう。
しかし鉄穴流しが出来ないとなるとかなり厄介だった。
私ことこれからは十六夜月はガチの力仕事になるからだ。
夜は帰っていいとは言われたものの、基本的に30日近くは掘り続けること確定なのだ。
肉体労働なのだ、食事もこの時代はかなり貧相で現代人には耐え切れるかどうか……
「さ、やろうね」
「……嘆いても仕方ない、やるか」
こうして帰ってきた鍛冶屋に帰ってきた時間は意外にも早く18時近くだった。
「さあ飯だ!これ食って早く寝ろ!」
食事はやはりというか貧相だった。
玄米をおこわに炊いたもの、味噌汁、それにたくあんだった。
しかし、今はそれだけでもありがたいと思った。
肉体労働で非常に疲れてたからだ。
「うめっ……!うめっ……!」
「いい食いっぷりだな!新入り!」
「玄米うめぇ……!」
「しかし困ったな……」
「どしたんすか?」
「堺と博多の街に届け物をしなきゃなんねーんだが……何せ地形に疎い俺らがいっても迷子になるし山賊に襲われるだけだ、しかもこいつは下手すると商人衆の俺らの商売にも関わってくる」
「まぁ大変」
「大変っすね、俺蝦夷の方しかわからんし」
「……おい、お前名は何ていう?」
「十六夜月ですが?」
「……名前的にごまかしがきくな、お前今の仕事やめて博多と堺の街いってくれ!頼む!」
「何で!?」
私が驚くのも無理はない、いきなりの大役に私が抜擢されたからだ。
「カブキはまず名前がダメだ、商人衆に怪しまれちまう」
「ひどい!」
「ほかの下働きは礼節がなってねぇ…
…カブキ以下だ正直いって……だからお前しか頼めねえんだ十六夜月」
「まぁ礼節少しだけならわかるけどさあ!?」
「礼はする!」
「……馬屋の手配を明後日の昼までに、やってやろうしゃないですか」
「すまねぇ!物はこれだ!」
そう言って鍛冶屋の親方は2振りの刀を見せた。
素人でもわかる傑作品であった。
「美濃の技術を全活用した傑作だ……これを後20日以内に届けないと俺たち食えなくなっちまう……」
「うーん、山賊が心配!」
「護衛はつけれねぇ、だから十六夜お前の火縄銃だけが頼りだ」
「偉い人は無茶難題をおっしゃる!」
「飯を食ったら今日は寝ろ!カブキは明日も砂鉄掘りだ!」
「はーい、蝦夷近く行くことなったら教えてくださいねー」
「そんときゃお前にも頼むよ」
食事を食べ終えカブキさんと布団に入ろうとした時、カブキさんが話しかけてきた。
「大丈夫かい?いきなり転移してきてこんな大役」
「正直不安、だがやるしかない」
「私もやれることやるからさーお互い頑張ろうや」
「んじゃ私寝る」
「おやすみー」
こうして二人揃って眠りに入ったのだった。
翌日昼ごろ、馬の準備が整ったという事で私は早速荷物を受け取り堺の街に馬を安定ペースで走らせたのだった。
親方からは宿代と食事代はある程度貰っており少しは余裕はあった。
だが一番の問題は船だった。
船代問題ではなく船移動は海賊に狙われやすく、食事も劣悪だからだ。
この状況を打開したいのだが、生憎の話私は船についてはてんてダメで大航海時代の船知識なんて知らないも同然だった。
まあ、そんなことを考えてるうちに4時間馬を飛ばしなんとか馬を休憩させれる茶屋についた。
金は使いたくないが馬だって休ませなければ限界がくる。それに私自身も小腹が空いた。
この時間は夜まで飯屋もやってるなんて事はないため最悪を考えてここで済ませることも考えた。
そんな時だった。
「ああああああああああ!」
「その声!?不知火さんじゃねーか!?」
「十六夜月さんか!?助けて!」
そこには、山賊5人に襲われる友人の姿があった!
「貴様!邪魔する気か!」
「3つ数える前にとっとと失せろ、さもなきゃ死だ」
「構わん!殺せ!」
聞く耳持たずか……と、言うことで火縄銃を構えたのだった。
「親方!火縄銃なんかに勝てるんですか!?」
「火縄銃は時間がかかる!そこを狙え!」
「うるせぇ!」
私は間髪いれずに山賊の肩に早合弾丸をぶち込んだ!
「こいつ躊躇いなく撃ってきやがった!正気じゃねぇ!」
「だが今が好機!かかれ!」
「チッ!後15秒!」
早合弾薬といえどリロードには20秒はかかる、その間が問題だった。
実際には1分かかるのを20秒に短縮できるのはでかいのだが……
「間に合った!」
「十六夜さん来てる!」
「うっせえタボ!」
「ぎゃああああ!?」
間髪いれずに山賊の左肩に弾丸をぶち込んだ!
しかし思った以上に威力がありすぎて山賊ごと吹っ飛んだ!
当時の火縄銃は射程100m以内なら殺傷範囲内でさっき当たった山賊との距離は5m近く
皮肉にももう助からない範囲にいたのだ。
「次はどいつだ!」
「ひぃ!?逃げろぉ!」
私は刹那か修羅かの状態になっていた。
友人を奴隷にされると言うブチギレ案件に完全に怒りのトリガーを相手は切ってしまったのだ。
「助かったわ十六夜さん」
「なーんで不知火さんまで飛ばされたよ」
「た つ ま き」
「し っ て た」
こんなんで会話が通じるんだから私の特性は恐ろしい。
まあ、問題は不知火さんをこのままつれてけない所だ。
「あいつら金と槍落として逃げてやんの、ほれこの金と槍はやるから早めに宿見つけて今日は寝ろ。そして井ノ口の町いって十六夜月の紹介といって鍛冶屋行け。食いっぱぐれはしない」
「助かるわ、しかし私ブラックスミスになれるんか?」
「アンタ知識だけならあんだろ」
「そうやったわ」
「飯は……」
「山賊を追っ払ってくれてありがとうね!お代は無料でいいよ!」
「だ、そうだ不知火氏」
「貰ってくわ」
「で、何くれるの?」
「ほら!まずは麦茶だよ!」
麦茶なんてこの時代にあったかって?夏場には1杯が団子つきで現代価格400円で売られてたりする。
まぁ、味噌団子なわけだから腹持ちはいい訳だが……私としては思ってたのと違う!原理になるわけで。
「あっつい!」
「この麦茶砂糖入ってね?」
「なんか甘いな」
こんな感じに、茶屋で少し一服したのだった。
大体30分ほどであった。
「今日の宿屋までは案内する、あとは自力で井ノ口の町までいけ」
「あいあい」
こうして馬と一緒に歩く事2時間……
京と井ノ口の半分近くの宿屋についたのだった。
「お泊りですね?(えっ何その草履、足元見ても汚れ具合わからないんだけど……)」
「食事つき、1泊で」
「申し訳ありません……女性の方と相部屋になりますが安くしますんで……」
「足元見られたなあ!露骨に!」
「しゃーないべ、うちらが特殊や」
「……女性に食事なしなら食事奢るんで何貫?」
「300文(現代価格約45000円)ですね」
「5貫奪ったからほれ、300枚」
「ありがとうございます、ではお部屋に……」
こうして、部屋に案内されることになったのであった。
宿屋の部屋
「待ってキャロル一人で生きてける気しないんだけど」
「あのさぁ……知り合いばかり会うのはなんでなん?不知火さんや」
「私に聞かれても知らん」
「えっキャロルのこと知ってるの!?」
「どうも、十六夜月です」
「十六夜君かぁ」
どうして知り合いばかりに会うかはわからないがとにかく運が向いてるのは確かみたいだ。
しかし何もできない女性に戦国時代何ができる?
出来るようにしなくては生きてはいけないし、女性に鍛冶屋をやらせるわけにはいかないし……
そのとき思った、キャロラインさんに海外貿易をしてもらおうと。
その為には水軍技術とかを学ばないといけないわけだが……まぁ、当時女性の船乗りなんていただろうか?
「あ、何か考えてる」
「あなたの今後の身の振り方考えてんだよなあ」
「キャロルの身の振り方かぁ」
「商人にするのは確定にしても、海外貿易には金がないんよ」
「確かに、うちらはいま資金不足やもんな」
「だからキャロラインさんには商人と船乗りの勉強をしてもらいます」
「キャロルに出来る?」
「出来なきゃ困るんよ」
「そっかあ」
まぁまず商人は問題ないだろう。問題は水軍技能だ。
体力的にも現代人は不利だし船が劣悪で女性にはきつい事この上なし。
ナプキンなんてもんはないのだ。
なんなら下着は褌にさらしである。
本当、辛いね昔って……。
「まあやってみるけどお金キャロル持ってないよ?」
「そこなんよなぁ」
実際金銭面は課題であった。
学ぶにも生きるにも金がなければダメ、これは今も昔も変わりがない。
どうやって稼ぐ?という問題があった。
「キャロルなんか荷物の持ち運びは出来るようにはなってんだよね」
「……ちーとまってーな?それなら……」
十六夜月、妙案が思い浮かんだ。
確か未来では納屋とある水軍が手を組み海外貿易をするはずであった。
そこでだ、その店で鍛えてもらって水軍と算術を鍛えて貰えばと。
「キャロラインさんへ、あなたはさかいにいってもらいます」
「え?何で?」
「算術と水軍が学べるから」
「なんで?」
「未来を変えるためにいるから、このまま行けば日本が負の歴史を背負ってしまうの」
「負の歴史?」
「まぁ、このままではいかんということ」
「わかった、キャロルに出来ることするね」
「あと堺にいけば洋食たべれるように手配するから……」
「ようしょく!」
「食事を持ち運びました」
「さあ、食べたら寝て明日に備えるよ」
「うちは井ノ口でブラックスミスの勉強」
「キャロルはこれからのために堺だね?」
「私は鍛冶屋であるものを作る、金も稼ぐ、そしてゆくゆくは城を持つ!」
「十六夜さんや、マジでやらかしかねん」
「ではいただきます!」
そうして、食事を食べたら皆ゆっくり寝たのだった。
そして朝7時、みんなそれぞれ行動を始めたのだった。
堺の町
「でだ、これ誰に届けりゃいいの?」
「キャロル知らないよ?」
「あ、紙だ」
紙には納屋と書かれていた。
多分ここに持ってけばいいんだろう。
「店にもってくべ」
納屋
「誰かおらんか」
「ご用件は?」
「井ノ口の鍛冶屋じゃ、頼まれ物を持ってきたぞ」
「……確かに受け取りました、代金は後で支払打とうと親方に伝えてください」
「後この子商人勉強させたいんじゃが、住ませつつ」
「……知らない方を商家にいれるのはちょっと……」
「勉強はできる、なんなら試してもいい」
「そこまでいうのでしたら今からいう暗算を5問連続正解させてください」
「キャロル何すればいいの?」
「算数の時間」
「分かった」
「六八」
「48」
「二二が」
「4」
「九九」
「81」
「四五」
「20」
「七七」
「49」
「……九九をすらすらと……」
当時、一般市民は九九すら分からない人がいた。商人ならまだしも町民農民はわからない人はいたのだ。
しかしキャロラインは簡単に答えた。
現代知識で培っていたのだ。
「これなら文句なしに使えます、わかりました使いましょう」
「よかったなキャロル」
「助かったー!」
「では私は博多に行く用事があるのでこれにて!」
こうして、堺の町から立ち去るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます