第5話 大渦
神様から授かった能力はとても強力で便利な力だ。
スキルを上手く使えるか心配していたけど、どのタイミングで使えば良いか身体が覚えているといった感じで特に意識する事なく自在に引き出し操れている。
普段なら息が切れる距離を全速力で走れるのも身体強化能力のおかげだろう。
スキルの使い方が分からずに途方に暮れるような事がなくて良かった。
オークの死体群を抜ける際、武器がない二人のためにオークの武器を何か持っていこうと考え先に握りしめていた石を放った。
地面にぶつかり放った石が光を反射させた、なんの光だろうか?石を拾い直すと放った際に欠けたと思われる場所からパラパラと表面が剥がれ中から赤い鉱石が出てきた。もしかして、ルビー!?
ブン!ブン!ブン!ブン!
空気を切り裂くような異様な音が背後から聞こえる。モンスターか?
すぐに光学迷彩を発動させ前ポケットに宝石を仕舞い、近くにあった槍を拾ってから茂みに身を潜める。
「あー、ここの主とか言ってたトロールからレアドロップがないとかマジ萎えるわ〜。オークのドロップでレアとかあるのか?」
「痛ッ!破片が」
「イケメンに傷跡とか洒落になんねー!
頬の傷が治った?!
「さすが俺様の頼んだ世界最高で最強の聖剣!!
ゲームと同じ回復魔法が使えるとかまじ卍!」
回復魔法が使える聖剣!?
あの流行ってるゲームの!?
実際にある武器じゃなくても女神は創造できた…
だから矢が無くても打てる弓と言ってたわけか…
令嬢が転移でなく転生した事からも、都合の良い嘘をついている疑いがある。
異世界からの帰還についてなど、知っている情報は聞き出したい。
この事も
無数の死体漁りに夢中になっている
◇
巨石の門が見えてくる、あの奥が女神像があった場所だ。丁度門の奥からこちらに向かってくる二人の姿が見えた。魔法少女のために迷彩を解除する。
「マオちゃん早く!こっちへ!」
「ノゾミお姉ちゃん!
マオ、キュアキュアみたいに魔法使えるよ!」
「まずは
「二人共!!何をあわててるんですか!?」
「あ、その声は
モンスターです、モンスターが現れました!
周囲に沢山潜んでいたみたいで」
「ゾンビ映画みたいだよ!やっつけようよ!」
二人が巨石の門を抜けると後から続々と赤のカサに白の斑模様のキノコが続いてくる、それも二足歩行で。
「うわぁ…気持ちわる…」
「
「とりあえず、さっき
「わかりました。
「わぁ、これがノゾミお姉ちゃんの魔法!すごい!」
白いもやが一定間隔で色が変わって見える気がする。魔法の重ね掛けに法則があるのかもしれない。
ドサ
「ノゾミお姉ちゃん!?大丈夫!?」
「だ、大丈夫です。ちょっと足から力が抜けただけなので」
「本当にすみません、何も分からない状態で無茶なな魔法の使い方をお願いしてしまいました。立てそうですか?」
無闇に魔力を消費させすぎた反動が
ゲームをプレイする時の癖で戦闘前に全力で
「もう少し、もう少しだけ待ってもらえますか?」
「わかりました。それじゃ、ええと。マオちゃん、ですか?私はメイといいます。魔法って使い方とか分かりま…わかるかな?」
この年齢の子との話し方が分からなくてついぎこちなくなってしまう。
「メイお姉ちゃん、よろしくね。あのキノコに魔法使えばいいの?」
「魔法なんだけど、マオちゃんの魔法の力ってなんだったかな」
「ええとね、
攻撃呪文特化能力を魔力が少なくても常時回復で無理やり発動させる計算?
なんてものを子供に背負わせるんだ。
「教えてくれてありがとう。魔法を無茶して使いすぎると
「そうなんだ、それじゃ使う時は教えてね」
「う、うん、その時はよろしくね」
あぁ、慣れないと話しにくい…。
「
「それなら私が背負います、無茶させてしまいましたから。マオちゃん、この槍を持って付いてきて欲しいんだ」
『筋力大向上』
「うん分かったよ、なんだかメイお姉ちゃんスポーツ選手みたいになったね」
「私は魔法使えないけど、こういう能力なんだ。あとさっきのお化けの正体も私だから、驚かせてごめんね」
槍をマオちゃんに渡し、一回り大きくなった腕で
キノコから離れた茂みに二人を難無く移動させ る。聖さんの魔法の効果もあり思った以上に素早く移動できた。
「マオちゃん、ここで
「うん、ノゾミお姉ちゃんを守るね、メイお姉ちゃんも気をつけて」
槍をマオちゃんから受け取り、迫りくるキノコの大群へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます